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にゃんとも不思議な異世界生活始めましたにゃ  作者: YUUURI
第1章  新天地セイタルです
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64。水魔法にゃ

 リコの話を真剣に聞いてくれたダレンとソフィー。


 二人共、アイテム鞄の事は「誰にも言ったりしない」「信じて良いよ」と言ってくれ、マサ達は安心した。

 『出自ストーリー』は嘘八百、出鱈目も良い所だし、本当はアイテム鞄では無く指輪型アイテムボックスなのだが。

 二人の誠実さを思うと、申し訳なくて何だかこちらがホロリとしてしまい、マサまでもが涙目になった為、話に真実味が増してしまった。


 昨日の夜、「きっと、あの二人は昼食を抜くはず」だと、リコが予言していた通り、二人は昼飯を用意してきていなかった。

 予想が当たって喜んで良いのか悪いのか。

 その辺も、リコが準備万端整えてきているので、お任せである。


「これ、手伝ってくれないと困るの!!」


 テーブルの上には、種類が色々、でも一皿ずつの屋台料理がずらりと並んだ。


「でも悪いから……」


 そう言って、モジモジしていた二人だが、


「余り物で悪いんだけど、お願い助けて。食べてくれなきゃ(いた)んじゃう」


 ここでもリコの詐欺師的能力を遺憾なく発揮。


「そう? それじゃあ遠慮なく頂くね?」


「でも、ホントに何か悪い。ちゃんと借りは返すからな?」


 律儀な二人である。

 それぞれが好きな物に手を付けながら、ゆっくり食事を摂る事が出来た。


「それにしてもさ、お前たちの従魔ってスゲーな? 魔物を察知出来るなんて」


「うん、従魔って凄いね? テイムが使えるなんて羨ましいよ」


 テーブルの上に居る子猫達を羨望の眼差しで見つめる二人に、気を良くした子猫達。


「(凄いなんてそんな事は……有りますが。ぼく達はただの従魔じゃないですからね)」


「(そうにゃ、そうにゃ。神獣とその番にゃ!! (あが)めたら良いにゃ!!)」


 灰色と三毛色の毛玉が、胸を張りながらドヤ顔を見せ始めた。

 マサは一瞬、何をペラペラ喋るんだ!? と、焦ったが。


「可愛いね!! ニャーニャー言ってる~、何か話してるの?」


「さっぱり分からん、テイマーって話してる言葉が分かるのか?」


 そうだった、にゃん語は通じないんだった。


 マサがほっとしている横で、ソフィーとダレンの質問は続くのだった。





 昼食後、食器を片付けようとしたリコに。


「それ位は私達にやらせて?」


「そうだよ、俺達で片付けるよ」


 そう言ってダレンとソフィーは、二人で水魔法を使い始めた。

 よく見ると、魔法で水流の有る水の玉を生み出し、その中に使った器を入れて綺麗にしている。

 大きさは少しソフィーの方が大きいが、それでもダレンの水の玉だって30センチは有るだろう。


 へぇ、空中に浮かぶ洗濯機みたいだな。


 マサが感心して見ていると。


「二人共凄いね!? そんな事も出来るんだ!?」


 興奮したリコが、水の玉に顔を近づけてじっくりと眺め始めた。


「どこでもやってるよ? 私達の所もそうだったし。洗浄魔法は使えないけど水魔法が使えるって人は必ず覚えるよね」


「そうそう、便利なのは間違いないよな。狩には使えなくても、洗濯も出来るし身体も洗えるしで、俺もスゲー練習したよ」


「狩に使えないの? 魔力量の問題?」


 リコの問いに、ダレンは作業を続けたまま首を傾げて。


「う~ん、魔力量的には問題無いよ、これってそんなに魔力を消費しないしさ。この前の依頼で行った農家で、大根洗いをぶっ続けで4時間位やった時は、流石に結構きつかったけどな」


 今度はそれを聞いたリコが首を傾げ始めた。


「そんなに長く使えるなら、魔物狩りにも使えば良いのに」


 リコの言葉を聞いた二人はキョトンとした後、盛大に笑い出してしまった。


「はははははっ、飛ばせはしても威力なんか無いんだぞ? 何言い出すんだよ~、笑わせるなよ~わはははははっ」


「ふふふふふっ、そうよね~無理に決まってるでしょ? 大きさが変えられたって、威力が無かったら無理よ~? 面白い冗談よねぇ、あははははっ」


 笑っている二人の横で、まだ考え込んでいるリコ。

 暫く黙っていたが、何か思い付いたように顔を上げた。 


「それってどこまで動かせるの? お湯に変えられる?」


 真剣なリコの様子に、笑っていた二人も笑みを止めた。


「え? 距離ってどういう事? お湯を出すってなんだ?」


「子供の時に、遊びで水の玉をぶつけ合った事は有るけど? それと、お湯って沸かすものだよね?」


 二人の答えにリコは目を見開いていたが、黙って聞いていたマサも驚いていた。


 お湯は沸かすもの? 間違ってはいないけど、魔法で出せないのか? いや、俺の魔法では出せるな……うん、出せるぞ? この世界での常識では、魔法で出すものじゃないって事なのか?


 リコも考えた事は一緒だったようで。


「お湯は魔法で出せないの?」


 シンプルに聞いてみる作戦に切り替えて来た。


「魔法で出せるのは水だけだよ? お湯を出すなんて聞いた事無いもん」


「そうだぞ、魔法で出した水を温めるとお湯になるんだからな」


 ……魔法の使い方の問題か? いや、想像力の問題なのかも知れん。


 いい加減、イライラして来たマサ。


「見せた方が早い」


 そう言って、手の平にダレン達と同じくらいの水球を出して見せた。


「触ってみろよ」


 そう言って、ポーンとダレンに向かって放り投げた。

 リコも同じように水球を作り出すと、それをソフィーの手に乗せる。


「な、なんだ!? 何で熱いんだよこの水!!」


「えぇ~!? 熱いってどういう事!?」


 受け取った二人は驚いて大声を出すと、マサ達と手元の水球を交互に見ている。


 苦笑いのリコが、ダレン達をそのままにしてテーブルを仕舞うと、出発の準備が整ったようで、マサに合図を出して来た。


「それじゃあ、出発しようぜ」


「ゆっくり休んだし、もう出た方が良いね」


 そう言って歩き出すマサとリコに、ダレンとソフィーは水球を持ったまま追いかけてきて。


「おいっ!! マサ、コレどういう事だよ!?」


「このまま知らんぷりって!! リコ、酷いよ!!」


 のどかな草原にダレンとソフィーの声が響くと、マサとリコはそれが可笑しくて一緒に笑い出すのだった。 

お読み頂き、ありがとうございます。

少しでも面白かったと思って頂けたなら、次作への励みになりますのでブックマーク・評価・いいねを宜しく願いします。


そして、ブックマーク・評価・いいねを下さった皆様、本当にありがとうございます。

今後も頑張っていきますので、よろしくお願いいたします。

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