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にゃんとも不思議な異世界生活始めましたにゃ  作者: YUUURI
第1章  新天地セイタルです
47/119

47。過保護にゃ

「私も思ってた、一角兎を狩るだけじゃ駄目だよね」


 リコもそう言って賛成してくれたので、二人は依頼を受けて、森に向かう事にした。


 やっぱり門番のオジサンには。


「お前達じゃ、危険じゃないか?」

 

 と心配されたが、もう一人の門番さんに。


「この子らも冒険者になれたんだから、15歳過ぎてんだろ? 心配し過ぎだって。あの森で狩が出来なきゃ冒険者稼業なんか出来んだろうが」


 と、諭されていたのだが……、どうやらこの町に来た時にリコが語った『出自ストーリー』に感化されてしまい、マサ達の見た目も相まって、オジサンは心配し過ぎてしまったらしい。

 ただ、危険な事は本当なので、ランクが低いうちは余り中までは入ってはいけないらしいけど。


 渋々送り出してくれた門番さんに手を振って、二人は門の外に出る事が出来た。


「私って、女優になった方が良かったのかもね」


 ご機嫌で歩くリコを横目に、マサは「ああ」としか言えなかったが。


 リコさんや……女優というより、詐欺師的能力な気がしてならないんだが。


 マサはそう思い、ため息を付きそうになった。




 二人が小走りで森に向かい始めると。


「私ね、気になる事が有るんだけど」


 何の前振りも無く、リコが言い出した。


「コンシェルジュさんが創った〈広範囲鑑定〉って、鑑定とサーチ機能の組み合わせって言ってなかった?」


「確か、そうだったと思うけど?」


「前から思ってたんだけど……この子達には危険察知っていうスキルが有るでしょ?」


 リコは、話の繋がりが全く分からない事を聞いてくる。


「さっきと話が変わってるぞ? 何が言いたいんだ?」


「私も曖昧な感じなんだけどね、危険察知ってさ、危険の来る方角が分ってる感じじゃない? ルーちゃん達も『あっちから』とか『こっちの方から』って教えてくれるでしょ?」


 マサは、リコの言いたい事が全く理解できないが、ここは黙って聞くしかないと思い、相槌をうつ。


「そうだな、そう教えてくれるよな」


「そこでさっきの〈広範囲鑑定〉に繋がるんだけど、サーチ機能で、魔物の場所が分かったり出来ないのかな~なんて考えた訳よ。サーチって探索という意味も有るでしょ?」


 それを聞いて、マサは『あれ?』っと思った。


「もしかしてさ、俺達〈サーチ〉って魔法使えるんじゃないか?」


 マサがそう言った途端、リコは目を見開いて黙り込み。


「…………使えるみたいだねぇ」


 そう言って頭をかくと、照れ隠しに笑って見せる。


「そっか~、〈サーチ〉を使えるから、コンシェルジュさんが〈広範囲鑑定〉に利用出た訳か~、成程~」


 マサはそれを聞きながら森の方角に向かって〈サーチ〉を使ってみた。


 頭の中に(この方角のこの辺り)位な曖昧な感覚での状況がうかぶ。


「ちょっと物足りない感じだよな」


 残念そうに言うマサに。


「え? もう使ってみたの? どれどれ~……」


 使い終わったリコも微妙な顔をしている。


「もう少し? あと一歩? って感じがしないか?」


「そうだねぇ……そうしたら、どんなのが良いかなぁ?」


「〈広範囲鑑定〉の時みたいに、使っている間は常時見えてるんじゃ困るよな? 実際の視界に被って、見えにくそうだし……」


 マサは話している途中で言葉を切った。

 また、急にコンシェルジュの連絡音が鳴るのではと思ったからだ。


「……」


 暫く無言で待ってみたが音は成ることは無く、安心したマサはほっと息をつく。


 その間もリコは色々想像していた様で。


「……じゃあ魔法を使ってる間は、自分しか見えないステータスウインドウみたいな画面が出るとか?」


 リコも楽しくなってきたのか、意見を出してくる。


「範囲も変えられて、画面も大きさを自由に変更出来て、なおかつ邪魔にならない様に、場所を動かせるなんてどうだ?」


「あはははは、じゃあもう一つ追加!! 魔物だけじゃなくって、人の位置も分かるのは?」


 マサもリコも、段々ノリノリになってきて。


「おう!? それならこれは? 俺達に悪意が有るか無いかで色分けできるってのも良くないか?」


 マサが言い切った瞬間だった。



『ぴんぽんぱんぽ~ん♪


 コンシェルジュがご要望にお応えします


 只今より、〈サーチ〉を改良した新魔法


 〈サーチ改〉が使用可能になりました。


 ぴんぽんぱんぽ~ん』



 マサは唖然として押し黙り、走るのを止めて立ち止まった。

 リコもすぐに止まると、ニマニマと嬉しそうに空を見上げて。


「神様、有難うごさいま~す!! コンシェルジュさん最高です!!」


 と叫んでいる。


 マサは調子に乗った事を少し後悔したが、有って困る物では無いと気持ちを切り替えた。


「相変わらず過保護すぎるでしょ」


 と、呟いてしまうのは止められなかったが。


 鞄から子猫達が顔を出して、不思議そうにしている様子に気が付いたリコが、嬉しそうに説明をしている。

 その様子を眺めながら、マサは一足先に〈サーチ改〉を使ってみる事にした。



 目の前に現れた大型ウインドウ。

 まるでモニターに映る地図の様だった。

 大きさや見える場所も、左右・斜め上下等と、視界をふさがない様に変えられ、魔物の位置もはっきり分る。


 へえーっ、比べ物にならない位分り易いな。


 そう思った時。


「ずっる~い!! 一人で使って!!」


 気が付いたリコが怒ってそう言ったが、マサは有る事に気が付いた。


 森に入って少し行った所に、白い点が2つと赤い点が5つ、同じ方向に動いている。


「これって!? 追われてるんじゃないか!?」


 マサが焦ってそう言うと、リコも〈サーチ改〉を開いたようで。


「人だよ!! 魔物に追われてるね!?」


 見ると森のすぐそばまでマサ達は来ている。

 そして、二人の移動速度なら、助けに行けば間に合いそうではあった。


 どうする? 自分達が行っても対処できるのか? それどころか、皆を危険な目に合わせてしまうんじゃないだろうか……。


 そう思い悩むマサであった。

お読み頂き、ありがとうございます。

少しでも面白かったと思って頂けたなら、次作への励みになりますのでブックマーク・評価・いいねを宜しく願いします。


そして、ブックマーク・評価・いいねを下さった皆様、本当にありがとうございます。

今後も頑張っていきますので、よろしくお願いいたします。

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