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にゃんとも不思議な異世界生活始めましたにゃ  作者: YUUURI
第1章  新天地セイタルです
41/119

41。魔が差したにゃ

 〈 広範囲鑑定 〉とは、確かに素晴らしい物であった。


 例えば、「治癒草」と思って周りを見ると、治癒草が青く発光して見えるのだ。


 めっちゃくちゃ楽なんですけど~。


 流石に、マサも感謝せずにはいられない程の性能である。


 楽しくなって、思う存分に薬草採取を行った二人は、アイテムボックスの中を確認して驚いた。


「あれから2時間位だよね? 治癒草に毒消し草、合わせたら500本以上あるんだけど?」


「間引きしながらでも、凄く取れたよな?」


「さすがに取りすぎたね、この辺で止めておこうよ」


 マサが時計を確認すると、もうすぐ11時半になる所であった。


「そうだな、もうお昼も近いしな」


 二人がそんな話をし始めると。


「(えっ? ご飯の時間ですか?)」


「(もうそんな時間にゃの?)」


 マサ達の話に気が付いて、鞄の中に居た子猫達が顔を出した。

 どうやら居心地が良い様で、今までウトウトと眠ってしまっていた様だった。


「(この中は最高にゃ)」


「(ぼく達を駄目にする鞄ですね、素晴らしすぎます)」


 子猫達は、欠伸をかみ殺しながらそう言って、再び鞄の中に戻ろうとする。


 えぇ~!! 、あの食欲魔獣達がご飯の催促をしない???

 まさか、具合が悪いとか??


 マサは、心配になってボディバッグの口を広げて中を覗いて見る事にした。

 すると……そこにはクッキーを片手に、驚いて固まるルビィの姿が……。


 黙ったまま、見つめ合うマサとルビィ。


 隣でも、リコが鞄の中を覗いたようで、レオのしどろもどろな言い訳が聞こえて来た。


「(ち、違うんですにゃ、これは、えっと……にゃんと言いますか……)」


 こいつら、勝手にアイテムボックスからお菓子を出して……食べてたな……。


 マサは呆れて、大きくため息を付くと。


「リコ軍曹、こちらも同じ状況で有ります!!」


 ルビィから視線を外さずに、そうリコに告げたのだった。


「(つ、告げ口なんて卑怯にゃ!?)」


 ルビィは半泣きでそう叫ぶが、リコの静かな声がそれを遮る。


「君達……これはどういう事ですかねぇ?」


 思わず、マサまでもが体を硬くしてしまう位の声色であった。


 リ、リコさんや……、俺まで震え上がってしまうのは、どうしてですかね……。



 程なくして。


 そこには、鞄から出され、顔を両手で隠したゴメンネ状態の毛玉二つと、それを見下ろしながら仁王立ちするリコの姿があった。


「(ごめんにゃ~、魔が差したにゃ……)」


「(ごめんなさい……、もうしにゃいですぅ……)」


 そう言って平謝りしている姿が……なんとも…………、可愛すぎる!?


 チラリとリコを見ると、ニマニマしそうな顔を何とか誤魔化そうとしている。


「二度目は有りませんよ!?」


 何とか威厳を保ちつつ、そう告げたリコ。


 子猫達は、その場で泣きながら抱き合って。


「(良かったにゃ~、ちびるかと思ったにゃ……)」


「(本当です……、ぼくも危うい所でした……)」


 いかに恐怖したか語り合っている。


 その後ろで、余りの可愛さに怒りも忘れ、親バカ二人が身悶えしていた事を、毛玉達は気付いていなかった。




 シートを広げ、ピクニック気分で昼食を摂る事にしたマサ達。

 流石にシュンとして、いつものがっつきを見せない子猫達を見て。


「反省しすぎて、食欲が無くなっちゃったかなぁ……。育ち盛りだもんね……、この子達用に、アイテムボックスにおやつ枠でも作ろうか?」


 怒りすぎた事を後悔するようにリコが言った。


 ……リコさんや、こいつらは盗み食いをし過ぎて、お腹が減っていないだけじゃないかな?


 そう、マサは思ったが、リコの言う案も有りだなと考え。


「良いんじゃないか? 絶対そこの物しか食べるなよって、約束させればいいんだしさ」


 そんな二人の会話に、聞き耳を立てていた毛玉達は。


「(賛成にゃ!! ホントにお腹が空いてひもじく成るにゃ!?)」


「(そうして下さい!! ぼく達は育ちざかりです!?)」


 と、口々に懇願し始めたのだった。





 食後、アイテムボックスに仔猫達用のおやつ棚を作って。


「ここ以外の物は勝手に食べません」


 そう、しっかり子猫達に約束させた後、薬草を買い取りして貰う事にした二人。


「どの位出そうか? 全部出したら幾らになるかな」


「全部はさすがに駄目だろう? 目立ちすぎるって」


 そんな話をしながらギルドに向かう。


 子猫達は鞄の中の居心地が良い様で、顔を出しはするが、そこから這い出る事はしなかった。

 お腹が空いたら、決められた分のおやつを勝手に食べる事だろう。

 忘れてしまった時に、ニャーニャー騒がれなくて良くなった事も踏まえて、この鞄は、作って正解だったという事だ。


 そんな事を考えながら、ギルドが見える所まで来た時。

 二人は来たことを後悔しそうになった。


 入り口で、あのギルド職員(サラ)が誰かを待つように、立っていたからだ。


「何であの人が、あんな所に居るんだろうね?」


 リコも目ざとく見つけ、少し顔をしかめる。

 心なしか、二人の歩行もゆっくりになった。


 俺達の事を待ってるんじゃ無いよな?

 なるべく関りたくないな……。


 完全に嫌な予感しかしないマサであった。

 

お読み頂き有難うございます。ブックマーク・評価の方よろしくお願いします。



今までにも『いいね』を付けて下さった方々、そして今回た~くさん!! 『いいね』を下さった皆様!! 誠にありがと~御座います♪ 

そして、ブックマーク・評価を下さった方々にも、心よりお礼をお伝えいたします!!

これからも頑張って書きますから、是非読んでやって下さいませ~。

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