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にゃんとも不思議な異世界生活始めましたにゃ  作者: YUUURI
第1章  新天地セイタルです
40/119

40。忖度にゃ

 二人は立ち止まり、森をジーッと眺めていたが。


「(父様、さっきから何を怖がっているんですか?)」


 レオが顔を出して、何でもない事の様に聞いてきた。


「何って、神様の結界の中に居た時はまだしも、Aクラスの魔物が居る様な所を、何日も歩いて来たんだぞ? 何も無くて良かったけど、そんな危険な場所だったなんて……」


 捲し立てるマサの顔を、レオはキョトンとした顔で見ていたが。


「(何を言ってるんですか? 父様や母様にしたらあんな森なんて、本気出せば遊び場程度じゃないですか)」 


 と言ってのけたのだった。


「な、何言ってるのレオ君? そんな訳ないでしょ?」


 リコは慌てて否定するも、ルビィまでもが笑いながら会話に加わる。


「(何言ってるの? なんてこっちのセリフにゃ!! あたち達にとっては危険な森じゃ無いにゃよ、ね?)」


 そう言ってレオに同意を求める。


「(もしかして、ご自身の能力を理解出来ていないのですか?)」


 レオは少し呆れ気味な感じだった。


「(そう言えば、まだ転移してきて少ししか経ってないにゃ、実感出来ないのも当たり前かもにゃ)」


「(しょうがないですね……強さは有っても実践が伴ってませんからねぇ……)」


 子猫達が、何やら二人で納得し頷き合っている。


「何を言ってるんだ? さすがにそれは無いって……ぷっ、ははははははっ」


「おおげさだから~。いくら何でもそれは盛り過ぎだよね……ふふっ、あははははっ」


 マサとリコは、盛大に笑い出してしまう。


「(父にゃんもか母にゃんも、全然理解してないにゃ)」


「(まあ、そのうち分かりますよね)」


 子猫達は、まだそんな事を言っていたが、笑っている二人には聞こえていなかった。


 結局、マサとリコの間では。


「森から出るまでの間は、神様の何らかの力によって守られていたのだろう」


 と、結論付けられたのであった。



「門番のオジサンも、危険だって言ってたろ? 今日はお前達が鞄の中に居て、どんな感じなのかを検証するのが目的だからな?」


「そうだよ、だから薬草を探しながら、鞄の居心地を確かめよう?」


 マサ達はそう言って、森の手前に在る草原で薬草採取を始める事にした。




 薬草を探し始めてから、しばらく経っての事。


「あーっ!!イライラして来た!?」


 しゃがみ込んで薬草を探していたリコが、突然叫び出した。


「な、何だよ? 大きな声出して」


「だって!! 鑑定って凄いんだけどね、一つ鑑定に掛けて、違ったら次を見て、また鑑定を掛けてって繰り返すでしょ? 間違いは無いんだけど、効率が悪いと思わない?」


 マサは、見つけた薬草を引っこ抜きながら。


「まあ、確かにな。もっと……」


 マサが賛同しようとした途端、突然頭の中に音が鳴り響く。



『ぴんぽんぱんぽ~ん♪


 コンシェルジュがご要望にお応えします


 只今より、鑑定とサーチ機能を組み合わせた新魔法


 〈 広範囲鑑定 〉が使用可能になりました。


 ぴんぽんぱんぽ~ん』



「「 ……… 」」


 二人は、黙ってお互いの顔を見合い、相手にも同じ事が起こったのだと理解した。


「聞こえたよな?」


「聞こえたよね?」


 そう呟き合うと、急いで自分のステータスを開く。


「(母様? 突然どうしたんですか?)」


「(父にゃんもどうしたにゃ?)」


 子猫達は、鞄から顔を出しながら二人にそう聞くが。


「「 待ってて!! 」」


 慌てた様子でそう言われて、その気迫に黙るしかなかった。


「これだよね……」


「ああ、これだな……」



【コンシェルジュ】


魔法を使用するうえでの最上級加護。

ありとあらゆる要望に対応し、痒い所に手が届く秘書的な役割を担う。

無意識であろうとも瞬時にその場に最も適した魔法を使う事が出来るマルチタスク。

言い換えれば、思っただけでどんな魔法でも繰り出す事が出来る優れもの。



「……ありとあらゆる要望? 痒い所に手が届く秘書的な?」


 マサは額に手をあてて。


「……その場に適した? どんな魔法でも?」


 リコは頬に手を添え。


「「 どういう事??? 」」


 やはり、仲良く同時に首を傾げるのだった。





 どう考えても訳が分からない二人。

 神様から色々な事を教わっているはずのルビィとレオに、どういうことなのかを確かめる為、事の成り行きを説明した。


「(多分、この加護は状況に応じて、父様達に有利な魔法を忖度(そんたく)して創りだしたり、改良したりするんじゃないですか?)」


「(多分そうにゃ、だって神様が創った加護にゃよ?)」


 可愛らしく首を傾げて、子猫達はそう言った。


「……ご都合主義満載ですな」


 マサがそう呟くと。


「凄い! ホントにチートだよね?」


 リコは、なんだか嬉しそうだ。


「もしかして、だけど……お前、喜んでないか?」


「え? 当たり前でしょ? 良く考えてみてよ、私達にとっては良い事尽くめな加護なんだよ? この世界を生き抜く為には必要でしょ? マサは嬉しくないの?」


 そう言われてしまうと。


「そ、そりゃぁ……嬉しいさ」


 と、認めるしかないのである。


「ただ、いきなり過ぎて……俺の心が処理しきれないだけ」


「まぁ、分からないでもないけどさ。あの神様がくれた力だからねぇ……私さ、他にもあると思うんだよね。例えば見えないスキルって、実は備わってそうじゃない?」


 笑って、そう言ったリコ。


 た、確かに……、俺もそう感じた事あったよな……。

 あの、過保護な神様の事だ……ゴッド級アイテムの事も有るし、見えないスキルってのもあり得るな。

 そして【コンシェルジュ】か……、これからもこんな事が度々起こると思って間違いないだろうな……。


 そう確信して、有り難く思う反面、持て余しそうで困ってしまうマサなのであった。

お読み頂き有難うございます。ブックマーク・評価の方よろしくお願いします。

そしてブックマーク・評価をしてくださった方、本当に有難うございます~。とても励みになります!! これからもよろしくお願いします。


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