4。説明会にゃ
「私は一つの世界を造りました~、そして見守っています~。そこは地球程の文明には至っていませんが~、こちらで言うところの~中世位の時代で~、物語の様な剣と魔法の世界なのです~」
アストリアがそう言った瞬間、里子は我慢しきれず身を乗り出した。
「まっ魔法!、異世界ですかぁ!?」
そうだった、俺も異世界系のアニメは好きだが、こいつはその手の小説も好きで読みふけっていたんだった……。
政継は一つため息を付くと、フガフガと鼻息も荒い里子の肩を掴んで椅子に座らせ、アストリアに話の続きを促した。
里子の気迫にのけ反りながらも彼は話始める。
「私の神力で出来たその世界は~『アストリア』と呼ばれているのです~、そうです~私の名前です~。けれど存分に神力を注ぎ込み過ぎた為か~、魔素溜まりが多く発生し始めまして~…、魔素が人や魔獣に悪い影響を与える事が予想されるのですよ~。ある意味魔素で世界が成り立っている為~消す事も出来ず~、ましてや構築されてしまった世界に私が直接手を出すことも禁止されていて~困り果てていたのです~。ですが~……」
そこで言葉を切ると、大きく息を吸い込み、テーブルをダンッと叩いた。
「 「 !? 」 」
二人がまたもや驚いて息を吞む中、アストリアはカッと目を見開いて。
「私は思い付いたのです~!!、神獣に頑張ってもらえば良いのだと~。神獣がその世界に存在する事で~、魔素が風に吹かれたように~空中に混ざる感じで~、魔素溜まりを吹き飛ばすような~役割を~担ってもらう~。なんて~良いアイディアでしょうね~。そこで私は慎重に~神獣を創造しました~。……しかし生まれて少し経った頃~、手違いによって出来た時空の裂け目から違う世界に落ちてしまったのです~。そう~、この世界に~!!」
アストリアは、早口でそう言って二人をジーッと見つめた後。
「それが~、あなた達と一緒に居た~ルビィさんなんですよ~」
と、呟いたのだった。
情けなさそうな顔で、こちらの様子を窺っている。
は? 何言ってんの?
政継と里子の思考が一瞬停止した。
思いもよらぬ事で頭が真っ白になったのだった。
けれども里子がいち早く復活を遂げ。
「えっ、ルーちゃん天国に召されましたよ?」
と、悲しみを滲ませた声色で答えた事で、政継も冷静になった。
「ルビィはもうこの世にはいないんですよ…」
色々な感情が混ざり合い、絞り出したような声だった。
けれど、アストリアはキョトンとした表情で、二人を交互に見やり。
「何を言ってるんですか~ルビィさんなら~私の所で元気にしてますよ~。ルビィさんからお願いされて~ここに来たんですから~」
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