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にゃんとも不思議な異世界生活始めましたにゃ  作者: YUUURI
第1章  新天地セイタルです
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39。鞄にゃ

 ラウネロさんのお店に到着したマサ達は、店の中へ入って驚いた。


 朝も早い為か、依頼を受けた後の冒険者達が買い忘れ等を求めて立ち寄っている様で、少し混雑している。


「すみません、鞄の作成をお願いしていた者ですが……」


 手の空いた店員を見つけ、マサが声を掛けると。


「いらっしゃいませ、お名前を教えて頂けますか?」


 店員さんが笑顔で対応してくれた。


 良い接客だな、ラウネロさんの教育が良いのかな? 


 そう思った時、丁度ラウネロさんが店に現れ。


「おはよう、頼まれてた物は出来ているよ。良い物が出来たんだ、自信作さ」


 そう言って、奥から箱を持って来てくれた。


 見ると、思った通りの形をしたボディバッグがそこにあった。

 黒地に、鈍銀が模様の様に格子状に張られており、赤い縁取りがされた、とても自分好みの鞄だった。


「わぁ、なんかカッコいいね~、そして軽い!?」


「ホントだな、思ったより柔らかくて良いよな」


 喜ぶ二人に、ラウネロさんはニコニコしていて。


(なめ)したオーク皮の上に、魔鉱銀を張り合わせて有るんだ。ベルトも同様で、斬りかかられても魔鉱銀が受け止めるよ。そして、内装はスライム樹脂を挟んだから、柔らかい上に通気性も良いはずさ」


 ラウネロさんはそう説明してくれた。


 鞄を横掛けにし、ピッタリ合わさるように長さを調整してみると、体に馴染むフィット感にとても驚いた。


「(凄いにゃ~、中はフカフカにゃの~)」


「(顔も出しやすいし、良いですね!? ルビィと二人でも入れそうですよ)」


 子猫達にも評判は良い様で、安心する二人だった。


「また何かあったら、いつでもおいで」

 ラウネロさんにそう言われて、何度も感謝とお礼を伝え、店を後にする二人。




 店を出たマサ達は、鞄の中の毛玉達をニンマリと見ながら、この後の予定を話し合った。


「どうする? 何か依頼でも受けるか?」


「う~ん、この鞄の使い心地の検証をする為に、町の外に出てみない?」


「そうだな……それじゃあ、ついでに薬草採取でもするか」


 そうと決まれば善は急げと、門に向かおうとした途端。


「(お昼ご飯をちゃんと用意してからにして下さいね)」


「(そうにゃ、おやつも忘れたらダメにゃ)」


 鞄からひょっこりと顔を出しながら、子猫達は二人にそう注意してくるのだった。


 くぅ~っ、めちゃくちゃ可愛いなぁ!! バカヤロ~!?


 マサが身もだえしそうになっていると。


「キャー!! 可愛すぎるんだけど~!?」


 そう声に出して、リコがくねくねしていた。


 似たもの夫婦である。


 子猫達の要望を叶える為、まず先に広場の屋台巡りをすることになったのだった。






 ギルド内の依頼板には、定常(ていじょう)依頼板と言われる物が有る。

 内容は様々有るが、一々依頼書を貰わなくても良く、現物を提出するだけで良いという決まりが有る。

 そして、その中の一つが薬草だ。

 基本は最低5本で1セット=いくら(時価)となっている。


 マサ達はそれを覚えていた為、ギルドには寄らずに直接門へ向かう。

 ここの門は、入る時には検問を通るが、出るときには確認等は無い為、二人は大きく開いた出口門へ向かう。



 門の手前で来ると、門番のオジサンが声を掛けてくれた。

 この町に着いた時に対応してくれたオジサンだ。


「おう、お前たち! 元気にやってたか?」


「おかげさまで、今日は薬草採取に行こうと思ってるんです」


 リコがにこやかに返すと、オジサンは笑って。


「死の森の方には行くなよ?」


 その言葉に二人で? 顔になる。

 そんな二人を見てオジサンは真顔になり。


「お前達、死の森を知らんのか? この町に来た時、森の外れの中を道が横断していて、そこを通り抜けて来だろ?」


 そう言って、マサ達に分かる様に指差したのが、右手に見える森だった。


「「 …… 」」


 二人は絶句してしまった。


 え? あれって、俺達が転移して来た森だよな?


 マサが考え込んでいると、こういう時に立ち直りが早いリコが。


「死の森って何ですか? そう呼ばれてるだけで、あんまり危険じゃないですよね?」


 と、いかにも『大した事無いでしょ』的な感じで、質問している。


 ところが、それを聞いたオジサンは至極真面目な顔になり。


「何を言ってるんだ? あの森は入口近くでもゴブリンや狼が群れで徘徊しているし、奥に行けば行くほど危険な魔獣が出るんだ!! 森の中央なんてのはAクラスがゴロゴロしてる危険地帯だぞ!? お前たちはFランクだろ? 危険だから近寄らない方が良い」


 そう、力強く危険示唆するように言って来たのだった。


 どういう事ですか??? 神様!!!!

 俺達を()()()()()()()にって、言ってたじゃないですか???

 第一、一角兎や狼位しか出ませんでしたけどぉぉぉぉっっ!?


 マサは、何が何やら理解が出来ずにいたが、リコは顔を少し青くしながらも、その場をうまくやり過ごし。


「分かりました、そんな危険な所には近づきません。手前の草原で探してみますね」


 そう言って、オジサンにお礼を言ってから、マサの手を引いて門を抜けるのであった。




「な、なあ、どういうことだ? 神様は安全な所って言ってなかったか?」


 周りに人が居なくなると、マサは我慢しきれず声を発した。


「びっくりだよ~、どういう事なんだろうね?」


 リコも、真面目な顔で森に視線を向ける。


 そんな危険な所に居た事や、その中を何日も掛けて通り抜けて来た事を思い出し。


「訳が分からない……」


 と呟くマサなのであった。

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