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にゃんとも不思議な異世界生活始めましたにゃ  作者: YUUURI
第2章  町の名はバルバです
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34。落とし前にゃ

 マサ達を追ってきた男達は全部で三人。

 見た所冒険者ではなさそうだが、大柄で力も有りそうだ。


「なんで付いて行かなきゃならない訳?」


 リコが強気にそう言うと、男達は笑った。


「言っていた通り、気の強いお嬢ちゃんだ」


「まあ少し幼いが、そういうのが好きな奴もいるしな〜」


「気持ち悪っ!?」


 三下(さんした)のゲス発言に、心底嫌そうな顔のリコ。


「ほら、早く来いよ!!」


 掴みかかろうとにじり寄って来る男に、マサは顔をしかめ対峙するように前に出る。


「誰に俺を連れてこいって頼まれたんだ?」


 問ながらも男達に向かって鑑定を掛けると、大きなため息を付いた。

 男達は三人共【強盗】【恐喝】【違法売買】などの犯罪を犯しており、『闇ギルド・黒炎』所属となっていた。


「なあ、『闇ギルド・黒炎』て何だ?」


 聞いた事も無いし、インストールされた知識にも無い名前。

 マサは不思議に思って聞いたのだが、男達の顔色があからさまに変わった。


「なんでその名前を知ってやがる!?」


「どこまで知ってるんだ!?」


「おい黙れ!!」


 男二人の発言を、もう一人が諌める。

 そのやり取りを見て、『もしかして秘密結社みたいなものか?』とマサが思考していると。


「コイツラ、『黒炎』を知ってるみたいだぜ? 今更誤魔化したって遅えだろ」


「そうだぜ、どうして知っているか聞いた方が良いんじゃねえの?」


「そうだな、男は依頼主の所に連れて行かなくちゃならんから傷付けられんが、女をいたぶれば何か吐くだろう」


「お前達、リコに何するつもりだ?」


 マサは内心呆れながら、男達の様子を見ていたのだが、男達は自分達の方が有利だと思っているらしく、あざ笑いながら近付いて来る。


「黙って言う事を聞けや」


 一人がそう言った途端、マサの水魔法で拘束されてしまった()()の男。


「おい、何しやがる!?」


「は、離せ!! 離しやがれっ!?」


 もう一人の男は焦ったように拘束された仲間を見やるが、リコが「警備隊を呼ぼう」と言った途端に脱兎の如く逃げ出してしまった。


 その姿を、ニヤリと笑って見ているマサとリコ。

 念話で(あらかじ)め相談していた通り、一人をあえて逃がす事にしたのだ。


 逃げた男の名はバセル。

 その名で〈サーチ改〉にはしっかり赤い点がある。


「さあ、どこに逃げ込むんだろうね〜」


 リコの楽しげな声に、拘束された男達は怒声を上げる。


「てめえら、早く離せ!! 今なら許してやるぞ!!」


「痛い目に合いたくないなら、離しやがれ!!」


「コイツらバカだな。この状態で何言ってんだか」


 マサの呆れ声に、リコは笑う。


「バカだから相手の強さが分かんないじゃない?」


 ギャーギャーと騒ぐ男達が煩く感じ、リコは耳を手で塞ぎながら念話を飛ばす。


((このまま騒いでくれたら、勝手に警備隊が来てくれそうだけど、どうする? 黙らせる?))


((う〜ん、ビビらせて吐かせる事も出来るんじゃないか?))


 しばし考えて、威圧を掛ける事にしたマサ達。


「今吐けば辛い思いをしなくて済むぞ? 誰に頼まれたんだ?」


「うるせえ!! 誰が話すかってのっ……!?」


 男はそれ以上話す事が出来なくなった。

 顔を青くして、ブルブル震え始めたのだ。


「お、おい、どうしたんだよ急に……」


 仲間の姿を見て怯えだす男に、リコは声を掛けた。


「同じ目に合いたくなかったら依頼主を教えてよ」


「う、うるせえっ!! ガキが生意気な事を……!?」


 ニッコリ笑ったリコ。

 もう一人も同じ様な状態で震えだした所を見ると、きっと我慢出来なくなって、威圧を掛けたのだろう。

 口々に震えながら「止めてくれ」と懇願し始めた。


 騒ぎを聞きつけて警備隊がやって来た時には、男達は恐怖に震え、泣きながら謝っている状態に。

 自分で罪を認め、「早く俺達を牢に入れてくれ」と拝むように言われた警備隊は状況が掴めず困惑したのは言うまでもない。





「どういう事になっているんですか?」


 警備隊の詰め所に呼ばれてやって来たマルセルさん。

 開口一番にそう詰め寄ってきた。


「どうもこうも無いですよ。俺達襲われたんです」


「ご足労をお掛けしてすみません」


 苦々しい顔のマサと、申し訳無さそうに恐縮しているリコ。


「誰かに依頼されたみたいで、俺の事を連れ去ろうとしたんですよ。挙げ句、リコを売り飛ばそうとしたみたいですよ?」


「そんな……いったい誰がそんな事を……」


 状況が分かって顔を青ざめさせるマルセルさん。


「一応、犯人達は自供したんですけど、念の為に私達の身の安全を考えて、警備隊の方が身元引受人として冒険者ギルドの人を呼んだみたいです」


 リコの説明を聞いて、納得したマルセルさんだが、二人の怪我の有無を確認した後。


「とりあえずギルマスがお待ちです。ギルドへ参りましょう」


 そう言って、マサ達を冒険者ギルドへ促したのだった。

 ギルドへ向かう道中、マサは考えた。

 商会長と話しただけでは何の解決にもなっていなかったのだと。

 ではどうするべきか?

 訳の分からない組織も加わってきて、このままではリコ達(家族)の身も危うくなるのでは無いだろうか。


 キッと顔を引き締め、〈サーチ改〉の赤い点を睨むと小さく呟いた。


「落とし前は必ずつけてやる」


 そう、息巻くマサであった。

お読み頂き有難うございます。ブックマーク・評価の方よろしくお願いします。



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