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にゃんとも不思議な異世界生活始めましたにゃ  作者: YUUURI
第2章  町の名はバルバです
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16。悔しいにゃ

気が付けば、とうとう100話目になりました!!!

ここまで書いて来られたのも皆様のおかげです!!

有難う御座います~!!!!

 おじいさんはこのパン屋の店主でブラウンさんだそうだ。


「お前ら金は持ってるのか? そもそも食いきれんだろうが」


 見た目は厳ついが、優しい口調で心配そうに言うブラウンさん。


 しまった!? すっかり忘れてた。アイテムボックスの事は秘密にしなくちゃならなかったのに!! リコの言葉につられてしまった……。


 焦るマサの様子にリコが気が付いたようで。


 ⦅もしもし? ルーちゃんやレオ君が何も言わないって事は、悪意の無い人達って事でしょ? いつも通り、アイテムボックスが有って、それはおじいちゃんの形見って事で良いんじゃない?⦆


 リコさんや……相変わらず能天気ですね。


 マサはジト目でリコを見た後、あらかじめ入れて置いた大銀貨入りの小袋を取り出して見せる。


「ここに10万アストありますが、足りませんか? あと、間違い無く食べきれるので心配しないで下さい。実は死んだじいちゃんの形見で少し大きいアイテムボックスが有るので大丈夫なんです」


 その言葉に、ブラウンさんは驚き目を見開いた。


「ま、まあ、お得意さんの分は取り置きして有るから大丈夫なんだが、本当に買うのか? いくらアイテムボックスが有るって言っても、時間を置くと食えなくなっちまうぞ? 無駄にするような奴には売りたくねえんだが」


 最後通告かの如く言葉尻を強めたが、リコは人好きのする笑顔で言葉を繋ぐ。


「大丈夫です。実はうちの従魔も私達と同じ物を食べるんですが、その量が凄くて~」


 ブラウンさんはリコの説明に怪訝そうな顔をしていたが最終的には納得したようだ。

 アデールさんに声を掛けると一緒にお店のパンを集めてくれた。



「そんじゃぁ黒パン10アストが50個、白パン100アストが200個、丸パン150アストが100個、硬パン80アストが10個で合わせて36,300アストだ」


 小奇麗な木箱に入れてカウンターに置いてくれたので、鞄に入れる振りをしながらアイテムボックスに仕舞い込む。

 リコは無理を言ったのでと、木箱分の代金含めて多めに渡すとブラウンさんは苦笑いしながら受け取ってくれた。


「次はせめて前日に言ってくれ。そうしたら焼いてやるから」


 そう約束も取り付ける事が出来て、聞いていた子猫達が大喜びしているのが分かったが、聞かずにはいられない。


 ⦅もしもし? お前達の嗅覚は信用してるけどさ、食べてもいないのに大丈夫なのか?⦆


 ⦅何を言ってるんですか? 毎日食べてるじゃないですか。だから間違いなく美味しいですよ⦆


 ⦅そうにゃ、朝晩食べてるにゃよ。あのパンは本当に美味しいにゃ⦆


 子猫達の言っている意味が分からないマサ。

 どういう事だと聞き返そうとした時だった。


 カランと店のベルが鳴り、誰かが入って来たのが分かった。

 振り返ると、そこに居たのはロロイさんだったのだが、しきりに店の外を気にしていて、マサ達には気が付いていない様子。

 アデールさんはロロイさんの傍まで行くと、一緒に外をのぞき込んだ。


「いらっしゃいませロロイさん。外に何か有るの?」


 瞬間、ロロイさんが姿勢を正してカチコチに固まってしまった。

 それだけじゃない。

 何故か顔まで真っ赤になっているのがここからでも分かる。


「い、いや、な、何でもないんだ。こ、こん、こんにちは、あ、アデールさん」


「ふふふっ。可笑しな人ですね、ロロイさんは」


「そ、そうですかねぇ……」


 何だか挙動不審で、いつものロロイさんじゃないみたいだ。

 もしかして、今朝顔を出さなかったのは体調が悪かったからなのかな?


 挨拶のタイミングを逃したマサは、何となく二人の会話が途切れるのを静かに見守っていたのだが。

 気が付くと、リコがニヤニヤと笑っているのが見えた。

 すると、ブラウンさんの大きな咳払いが聞こえ。


「店の入り口で何をデレデレしてんだロロイ。ほら、これが今日の分だ、さっさと持って帰れ」


 カウンターにパンの入った箱をドンッと乗せる。

 その声で振り返ったロロイさんは、やっとマサ達が店内に居る事が分かった様だった。


「マサさんにリコさん、それにアーロン達も居たんだ……」


 何だかばつが悪そうな顔をしているロロイさんだったが、アーロン達が纏わりついて行くと朗らかな笑顔を見せた。


「ねえ、ロロイさん。また皿洗いの仕事とかあったら回してよ」


「僕は床掃除でも良いよ?」


「私はお料理の下ごしらえが良いな」


「そうだな。忙しくなったらお前達に頼むから、その時は宜しくな」


「ロロイさん、子供達に良くしてもらって、いつもありがとうございます」


 そんな会話を横目に、リコはすかさずブラウンさんから情報を聞き出していた。


「ねえねえ、ブラウンさん。なんかいい雰囲気なんだけどあの二人。どんな関係?」コソコソ


「あ~ん? そりゃあ見ての通りさ」コソコソ


「それって、アデールさんに片思いしてるロロイさんと、憎からず思ってるアデールさん。くっつけようと頑張ってる子供達に、それを見守ってるブラウンさんって事で有ってる?」コソコソ


「おう、お嬢ちゃんにも分かったか」コソコソ


 リコは「そりゃあ、分り易かったもんね」なんて呟いていたが、マサは頭上に???が浮かびまくりである。


 ねえリコさんや?

 今の流れのどこからそんな風に見えてたのかな?

 全く理解できない俺がおかしいの?


 何となくリコに負けた気がして、悔しいマサであった。

お読み頂き有難うございます。ブックマーク・評価の方よろしくお願いします。



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