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にゃんとも不思議な異世界生活始めましたにゃ  作者: YUUURI
第1章  新天地セイタルです
10/119

10。アイテムボックスにゃ

 政継は気を取り直して、指輪に意識を向ける。


「おぉっ!?」


 と、思わず声がもれてしまった。

 頭の中に、カテゴリー順に別れた棚のイメージが現れたのだ。


「この指輪ってやっぱりアイテムボックスって言うんだね、なんか凄いねぇ、食品棚って項目に意識を向けたら肉だの野菜だのってまた細かく分かれててさー、インストールされた知識としては頭に入ってるんだけど体験するのは別物だねぇ」


「本当にな、驚きだよな……えーと、こんなのが有ったぞお泊りセット(外用)? これか?」


 確認した物を(取り出したい)と思うだけで目の前に出現させる事が出来て、政継の心は踊った。


「凄いよな、感動だわ!!」


 取り出したのは、この世界でも目立たないような茶色い皮のテントで、見たところ二人用と思われた。

 既に設置された形である。


「まあ、寝るだけだからこんなもんか」


「そうだね、用意して貰ってすごく助かるね」


 そんな事を話しながら中をのぞく政継は。


「異世界サイコー!」


 いきなり叫んで、里子にも中が見えるように体をずらした。


「何、突然大きな声出して」


 里子は、咎めながらテントの中を横から覗く。


「ホント~、異世界サイコーだねぇ!」


 二人は顔を見合わせて喜んだ。


 外からは二人用にしか見えないテントだったが、中は20畳位の広さで天井も高く窓もある。

 左側面に小さめだが備え付けのキッチンと、四人掛けの食卓テーブルも見える。

 右手には衝立、その向こうに寝心地の良さそうな大きなベッドまで有った。




「拡張魔法が掛かってるんだね、自由に範囲設定出来る結界に、使用者指定設定付きにも驚きだけど、奥にはまさかのお風呂とトイレ。至れり尽くせりとはこの事だね~」


「そうだな、取り合えず寝床は確保出来て良かったよ、風呂も有り難い」


「だよねー、私はシャワーでも良いけど政継ってお風呂大好きだもんね」


「大好きっていうか、入らないと落ち着かないんだよな」


「私的に助かるのはトイレだね、流石に外でってのはねぇ……、猫トイレが便器の隣りに置いてあって自動で砂が流れていくのは笑えたね」


「ああ、笑ったな、砂の自動追加で掃除いらずなんて便利だよな」


 ベッドの上で、寄り添うように丸くなっているルビィとレオを横目に、感嘆の声と驚愕の声を交互に挙げながら、二人でアイテムボックスの確認作業を行った。

 

 そこで分かった事だが、驚く事に米・野菜・肉・飲み物・調味料等々、日本で使っていたありとあらゆる食品の記載が有る。


 おいおい…数の表記が〈???〉ってどういう事?一つ出してみても表記が変わらないなんて一体どの位入ってるんだよ……。


 二人を驚愕させたが、衣服はもちろんの事、タオルから始まり、下着や靴下等が何種類も使いきれない程有る。

 アストリアが二人から買い取った筈のカトラリーや食器が、新品の様な状態で収納されていた事に里子は。


「神様ありがと~!チート万歳!!」


 そう叫んで、もろ手を挙げ喜んでいた。


「んん???」


 苦笑いをしていた政継だが、ある項目に目が止まり、まさかと二度見してしまった。


「どうしたの?」

 

「これって……、一番下の右側、項目見てみろよ……」


 政継の様子を訝しく思いながらも、里子は言われた通りに意識を向ける。


「便利アイテムって……何?」


「分からん……中は空っぽなんだよ、嫌な予感がしないか?」


「……まさか~考えすぎだよ、用意したけど入れるものが無かったってだけでしょ。取りあえず一通りアイテムボックスの確認は出来たし、次は何の確認する?」


「たまたま? これまでの事を考えたらあの神様って俺達に甘いというか、過保護というか……またゴッド級のアイテムが入ってるかもと思ったが、考え過ぎかな……。まぁ考えても仕方がないよな、よし次はステータスにしようか」


「そうそう、待ってました~」


 里子が握りこぶしを掲げようとした瞬間。


「父にゃん」「母様」


 ルビィとレオから声が掛かった。


「「 ん?どうした(の)? 」」


 二人が振り向いた途端に。


「おにゃかが減ったにゃ~!!」


「お腹がすきました~!!」


 いきなり大ジャンプで飛びついてきたのだった。


「えっ、外は暗くなってきてるね、もう夕方になるの?何時だろ?」


「時計が無いから分からない、困ったな……取りあえず何か作ろうか」


 その瞬間、それぞれの指輪が有る場所がブルブルと震えだし、チカチカ点滅を始めたのだった。


 何だどうしたと驚く二人に、ルビィとレオは。


「神様にゃ」「神様ですね」


 と、事もなげに言い放つ。


「「 …… 」」


 嫌な予感がする……と互いに顔を見つめ合う二人。


「早く確認して下さい」とレオに促され、政継はアイテムボックスを開くと例の『便利アイテム』に素早く思考を向ける。


 やっぱりか……、点滅してるよ……。


 ため息を付きながら開くと、小ぶりの箱を一つ取り出してみせた。

 メッセージカード付きである。



 政継さん・里子さんへ


 今回は腕時計です。自動時間調整機能・方位確認機能・目覚まし機能付きです。ドラゴンに踏まれても壊れないようにしてあります。また、お試しで認識阻害を付与して置きました

 アストリアより



「ドラゴンて……、それにこの世界に認識阻害付与なんてないよね……」


「今回はって書いてあるぞ……、じゃあ次回も有るのかよ……」



 そんなにゴッド級アイテムいらないから~、怖くて持てないから~。


 と叫びたくなる二人。


「お腹がすきましたー」


「にゃにか食べさせるにゃー」


 そんな二人の気持ちも知らず、子猫たちは元気に声を張り上げるのだった。


お読み頂き有難う御座います。もし宜しければ評価して頂けると嬉しいです。



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