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オムツと私たち  作者: 062


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広井夏樹の帰還(20・終)

第2部、最終回です。

ありがとうございました。

数日後。福岡小児病院。


『前の文部科学大臣、佐藤ゆりあ衆議院議員が亡くなっているのを昨日、民自党が公表しました。議員が交通事故で入院した際にガンが見つかり、そのまま入院していましたが全身に転移しており、本人の意向で伏せていましたがおととい、ガンによる多臓器不全で死去したとの事です。葬儀は近親者で執り行い、後日お別れの会を実施すると民自党は・・・』



佐藤ゆりあはテレビニュースを途中で消した。


「ユリアちゃん、おむつ交換するね」


看護師がおむつ交換のために部屋に入ってきたからだった。


(夏樹ちゃんめ、私を死んだ事にして、11歳の女の子としてこの病院に転院させるなんて!)


もう、議員としての権力も財産を使ったお金の力も使えない。公的に佐藤ゆりあは死亡した事になっているからだった。その代わりに夏樹には後継者として遺産が入り、ある程度の権力もあるはずだ。


(この二十数年で築いた全てを失った・・・やられたわ・・・)


11歳の病気の女の子としておむつを交換されながら、佐藤ゆりあはそう思った。



同じ頃、長野県、某所。


「おつかれ様」


1ヶ月振りに見る婚約者の顔は酷く疲れが滲んでいて、高野宏は悪い事をしたと思ってしまう。だが反省しようにも、彼は何をどうすればいいのかわからない。ただ、和解が成立して被害届が取り下げられた事で拘束を解かれただけだった。だから彼は、


「ああ、ありがとう」


としか言えない。舞はそれに満足したように笑った。


(まだ、やり直せる。全て失ったゆりあさんよりはマシか・・・)


そんな事を思い、彼と腕を組んで歩き出した。



同時刻。東京都内、東都大学病院。


何もできないのは自覚している。4年前の事件の時も、6年前の1人目の時もだ。科学者としても技術者としても、あり得ないことに祈る事しかできない。


「パパ・・・」


娘が何か言いたげに圭吾を見る。その腕には『テンペスト』が巻かれている。


「ママは大丈夫だよ。それより、弟と妹、どっちだと思う?」


今回は1人ではない。その事実に圭吾は感謝する。


やがて、『手術中』と書かれたライトが消えて、マリが出てきた。麻酔が効いているのか眠ったままのマリに


「おつかれ様」


と声をかけた。


「お父様、終わりました。女の子ですよ」


出てきた医師にそう言われ、圭吾は安堵した。



同じ頃。東京都文京区、明王義塾学園理事長室。


「なんで私が『事務長』なんですか?まだ中2なんですけど?」


抗議の声を咲があげる。


「信頼できる人間が1人欲しいって事だよ。マリさんもゆりあさんもいないのだし、舞先生ももうすぐ産休だよ?圭吾さんはああ見えてアテにならないし」


困ったように笑いながら夏樹は言った。


「バイト代はしっかりもらいますからね!」


わかりにくい咲の了承に夏樹は思う。


(ゆりあさんも20年前こんな思いだったのだろうか?

そしてまた待つのだ。新しい『怪物』の登場を)

夏樹がゆりあがパラレルワールドで活躍する。

「魔法少女編」ただいま執筆中です。

興味のある方は探してみて下さい。

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