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オムツと私たち  作者: 062


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広井夏樹の帰還(8)

「『テンペスト』広井夏樹、スーパーモード発動」


思った以上に厨二病っぽい声で、ちょっと恥ずかしい。でも同時に、皮膚感覚が研ぎ澄まされる。結構離れた位置にいて、間に商品棚があるにも関わらず、ドローンの起こす風を感じる。モーター音も先程と違って、うるさいぐらい。


商品棚から出て、ドローンと対峙する。すぐさま発泡するドローン。耳が痛い。先程のドローンは単純にガスの圧力で弾を飛ばすタイプ。こっちは、ガスを燃焼させて飛ばすタイプだろう。そのために音が聞こえる。


ひらりと弾を避けて前へ。後ろで冷蔵ケースのガラスが割れる。聴覚はおかげで使えない。


最短距離でドローンを目指す。『スーパーモード』の効果時間は15秒。2回使って分かった。反動がキツイ。それでも90m/sぐらいの金属弾を避けられる神経伝達速度向上と筋力アップ。ドローンまでの約50m。生身の私なら9.5秒、『スーパーモード』で少し短縮できる。ドローンの連射は10秒に1発。避けた後で走っても次の発射までに充分間に合う。多分4秒程度の余裕ができてる。


振りかぶって、ドローンに麺棒を叩きつける。100円ショップの調理器コーナーにあったものだ。まさか『そうび:きのぼう』で戦う日が来るとは。人生わからないものだ。


私の攻撃を受けたドローンはそのまま後ろへ後退したかと思ったが吹き抜け部分で突然ローターが止まり墜落した。上から見た感じローターが壊れているのでもう飛べないだろう。勝った。


同時に『スーパーモード』が時間切れを迎え、頭がズキズキと痛む。100円ショップでスポーツドリンクを失敬して飲む。そして息を整える。


次に来るのは、彼女。『三島咲(みしまさき)』だから。


女の子だから全裸も効かない。『テンペスト』のバッテリー残量がないから『スーパーモード』ももう使えない。頭脳はほぼ同等。私は戦闘素人。向こうはフェイシングジュニアクラス日本代表。私は連戦。向こうは初戦。


「白旗でも上げたい状況だね」


そう呟いて私は1人笑った。



東都大学医学部病院。特別室


「夏樹ちゃんは相変わらず、中3の皮を被った怪物ね」


複数のモニターにモールや学校が映し出されている。それを見ながら小田マリが言った。一見、車いすに乗った子供に見えるが、お腹が異様に膨らんでいて妊娠していると誰もがわかる。そのためにこの病院に入院していて入院着を着ている。


「実戦もこなすのは意外だね。4年前はお金で傭兵を雇ったって言うのに」


返して言うのは佐藤ゆりあ。この特別室をあてがわれたVIPで前文部科学大臣であり、舞側がおこした交通事故で入院していた。


「わたし達と対峙した小5の時から進化してるわ。先生達の報告だと体力作りや筋トレ、少しボクシングもかじってるとか・・・」

「中3の今時点で共通一次も二次も東都大のトップを狙える学力があるからね」

「本当に『佐藤ゆりあの再来』ね」

「一方で『小田マリの再来』はどうかな?三島咲。この戦い序盤は海外勢力の参戦を匂わせて、見事に『マハラジャ』と『ナイル』のサーバーに誘い込んだ。普通なら研究機関のサーバーに網を張りそうなものなのに。天才の先を読むって点ではマリちゃんそっくりだよね」

「実質的リーダーは高野先生が担って、ブレーンは咲ちゃん。でもね、私は夏樹ちゃん推しかな。旦那様も頑張ってくれたし」


照れながら顔を隠して言うマリ。


「惚気かよ!はいはい、ごちそうさま」


うんざりとした顔でゆりあは言った。


「ところでウイルスはどうなったかな?」


ふと、ゆりあが思い出したように続けた。


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