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オムツと私たち  作者: 062


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広井夏樹の帰還(5)

「ショッピングモール側で火事だ!日元は同じ階のファーストフード店。ここは大丈夫なのか?」


焦りを隠せずに圭吾さんが叫ぶように言う。


「ここに来るドアは2枚とも防火扉だった。ゆりあさんの設計を信じましょう。どうせリモートで何かをショートさせたんでしょ」

「8月の夏休み期間中のショッピングモールだぞ?ヤツら加減を知らないのか?最悪の場合、ハロウィンの梨泰院だぞ」

「でも大きな火災はリモートだと起こせない。ただし、『失うもの』がないからね。こっちは『最新鋭量子コンピュータ・スーパーセル』を2台も失うかも。他にも失うものが多すぎて吐き気がするわ。さすが『過去の広井夏樹』ね!」


4年前に夏樹が言った『子どもだからと舐めてるから』をそのまま再現した状況に舌打ちしたい気分になる。


「スマートウォッチの『テンペスト』はモニターできる?『スーパーセル』は元来、そっち用でしょ?多分75人の天才の中に肉体派もいる。そうなると非戦闘員の私達2人でここを物理的に守る必要が出てくる」

「京王義塾小学部の全校生徒は500人以上いるぞ。どうやって75人に絞るんだ?」

「多分、『ユリアシンドローム』発症済み。かつ京王義塾小学部に在籍で何人?」

「154人だ!」

「わお!まだ多い!そのうち、ここから半径1キロにいるのは?」

「6人だな。3人は既に建物内だ。残りの3人は並んで隣のビルにいる。GPSだから高低差まではわからん!」

「了解。じゃあ、あっち向いてて。スカートまでぐっしょり。おむつを替えて迎えうつわ!」


何かしていないと落ち着かないのか圭吾さんはスマホを触る。


「朗報だ。『京王義塾小学部で熱中症の疑い。エアコンの故障か?27人救急搬送』だと」

「残り48人ね。こっちにいる3人は心あたりがある。小学部には柔道の全国優勝者と空手のジュニア日本代表。これは確定。あと1人は剣道かフェイシングの日本代表候補がいたはず」

「おいそれ、夏樹ちゃんじゃどうしようもない連中だろ?」


思わず圭吾さんがこっちを向いた。


「えっち」

「わっ!すまん!でもなんで全裸なんだ?」

「少しでも動けるように。と、考えがあるの。スーパーハンデ戦だからね。多分、ショッピングモールはもう人いないでしょ?警察とか消防は?」

「防犯カメラを見る限り、いない。多分向こうの偽の指令かゆりあちゃんが手を回したかだ」

「これで全裸でも問題ないね」


東京都文京区、明王義塾小学部。


「警察と消防はニセの指令で戻りました。お客さんも火災による全館臨時休館でいなくなってます」


男子生徒が報告する。舞は笑顔で言う。


「ありがとう、こうた君。みずきちゃん現場の配置は?」

「1階は捜索完了。北のバックヤード内階段に1名、売場中央の階段に1名、南側に1名です。これで全ての階段はこちらが見張ってます。ドローンチームは駐車場捜索後、館内に突入予定です」


(これでお客さんの子供に紛れて逃げるなんて手は打てないはず)


「柔道日本一と空手・フェイシングの日本代表、ドローン3台。この布陣をどうするかな?夏樹ちゃんは。『オペレーション:鬼ごっこ』スタート!目標、広井夏樹」


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