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オムツと私たち  作者: 062


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広井夏樹の帰還(4)

東京都文京区、明王義塾小学部。


「舞先生!スーパーセルの温度が上がってます!過冷却に入りました!」

「やった!僕達の勝ちだ!」


教室に歓声が上がる。確かにモニターには根拠となる数字が表示されている。


(おかしい。こんな簡単なはずがない!)


舞は何かを探す。この違和感を肯定する何かを。そして見つける。


「待って、外気温が45°c!つまりバックアップの方よ!」


(やはり、何かあった。さすが夏樹ちゃん)


「しょうがないから、オリジナルの方を全力でハッキングするわよ!」


言った瞬間、それができないと悟る。モニターにエラーが表示される。


『高温注意!』


そういえば、先程からみんな汗をかいている。不審に思ってエアコンの操作パネルをのぞく。


『暖房:設定温度50°c』


慌てて操作するが効かない。やがて、全てのコンピューターが停止する。


千葉県某所、スーパーセル、データセンター


「こっちからは何もしないのか?」

「もうやってる。先生のお相手はスマホで十分。今頃、お化粧が汗で浮いてる頃かな?」

「何をしたんだ?」

「多分、というか絶対、小学部にいるから、エアコンの制御を乗っ取って熱暴走させてる。これでしばらくは時間稼ぎできる」


圭吾さんが部屋の冷蔵庫からペットボトルのお茶を出してきて1つを私にくれる。もう1つを飲むと口を開いた。


「状況が2転3転して、わからん。頭を整理させてくれ。まず我がボス、佐藤ゆりあ前文部科学大臣が事故にあった。同時期に彼女が管理していたウイルスのDNAデータが盗まれた」

「事故を起こした車はEVだった。多分、ハッキングされて突っ込んだと思う。データはどこから盗まれたの?」

「学校の彼女の部屋だ。施錠はされてるがここと同じくコンピューター管理だ。ひょっとしたらここもハッキングかもしれない」

「さらに、その前にゆりあさんは『ロシアのエージェント』を名乗る人物からDNAデータを譲るよう取引を持ちかけられていた」


封を開けてお茶を口にする。冷えたお茶が美味しい。


「で、怪我をしたゆりあちゃんの代打で夏樹ちゃん登場。『スーパーセル』でECサイトをハッキングする。この時、どこからが舞先生の仕業なんだ?最悪の場合、テロと舞先生の2つと敵対するぞ?」

「私は全て舞先生のグループがやったと見てる。ロシアのエージェントを装い、EVをハッキングして、DNAデータを盗んだ。それを海外の仕業に見せかける事で私の登場を余儀なくさせたんじゃないかな?じゃないとECサイトのダミーサーバーを作る意味がない。ゆりあさんが陣頭指揮をとっていたら別から攻めたと思う」

「なるほどな。『舞先生のグループ』って事は複数人だ」

「同時期に学校とゆりあさんの事故っていう事件をおこしているからね。

あ!わかった。協力者は小学生だ!」

「小学生がそんな事できる訳がないだろ!」

「舞先生の才能は天才を育てる事なんだよ。代表作が『私』。4年前、高校生で学校法人を買収して教育改革を起こし、その後、衆議院1年生議員で文部科学大臣に就任する『剛腕・佐藤ゆりあ』と彼女を支えつつも彼女の考えを最速で実現させる『敏腕・小田マリ』のコンビを小学5年で倒す『怪物・広井夏樹』を育てた」

「つまりは『過去の広井夏樹』って訳だ。勝てるよな!こっちは『最新型・広井夏樹』な訳だし!」

「甘いよ。その例えを使わせてもらうと、『過去の広井夏樹×75人』VS『最新型・広井夏樹×1人+オマケ』って構図よ」

「オマケは余計だよ!」


その時だった。先程とは違う非常ベルが鳴る。アナログな目覚まし時計のようなベル音だった。

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