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オムツと私たち  作者: 062


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広井夏樹の帰還(1)

東都大学医学部病院。特別室


「入院おめでとうございます」

「めでたくないわ!ってか久しぶり、すっかり大人になっちゃって」

「嫌味?『テンペスト』って、成長抑制するホルモンでも分泌させてる?」

「出来るけどしてないわ。知ってるでしょ?」


どちらも小学生ぐらいに見えるが片方は15歳の中学生、広井夏樹。もう片方は30オーバーの女性だった。佐藤ゆりあ、前文部科学大臣である。


「で、何で事故ったの?」

「よくある高齢ドライバーの踏み間違えだって」

「前大臣を狙ったー、とかではないわけね」

「わからないの。それが夏樹ちゃんを呼んだ理由でもある」

「じゃあ、私じゃわからないね。事件・事故は警察に。野菜の事は八百屋さんに。魚屋に洗濯機を頼んでも困るだけだよ」

「もうやってるはずよ。でも、『動きが鈍い』それが気になる」

「なおさら中学生に頼むべきじゃない」

「『シーズン3』覚えてる?」


他ならぬゆりあが計画し、実行しようとしたテロ。『シーズン3』。それを阻止したのが小学5年生だった夏樹である。それが4年前。


「知らなければ幸せだった。なんて言うつもりはないよ。それでまたやるの?」

「いや、この事故のタイミングがね・・・『シーズン3』の中心であるウイルス。これの実物はなくてもDNAサンプルをくれとロシアのエージェントを名乗る奴の誘いを断った直後なんだ」

「なるほどね。ゆりあさんはロシアじゃないと思ってるんだ?」

「話が早くて助かる。多分、『同盟国』か『お隣の大国』じゃないかと思ってる。いわば冷戦状態だからね。相手国で『ミニシーズン3』を起こせば向こう10年は立ち直れないだろう?」

「ゆりあさんがガチで50%の人類におむつを強制させようとしたウイルスだもの。若者限定で。その年以降の労働者の供給がガタ落ちになり、社会保障費は増大。確かにうってつけね」

「『シーズン3』その中核たるウイルスのDNAデータが奪われた。私の事故と同じ時間に」


ゆりあさんが言う。


「また、黒幕がゆりあさんでした。は、やめてね」


私が皮肉で返す。


「あのウイルスはエンテロウイルスの変異種でね。偶然なんだ。だからこそ今日まで『シーズン3』の世界同時テロは起こっていない。そうでしょ?」

「確かに。でも1つ腑に落ちないんだよね。なぜ、ゆりあさんがそれを阻止しようとしているのか」


そもそもゆりあさんはそれでパンデミックを起こすのが目的だったはずだ。


「盗んだ者の目的が『世界を変える』ではなく『敵を困らせる』だからね。そして今回は夏樹ちゃんも目的は同じはずだ。『日常を守る』そうでしょ?」

「わかったわ。貸し1つね。それと借りたいものがある」

「言っとくけど、『右腕・小田マリ』は貸せないわよ。入院しているから。そもそもマリちゃんがいれば夏樹ちゃんには平穏を享受させてあげれたのに」

「本当に鏡と会話しているみたいで嫌だ。マリさんも一緒に事故?」

「妊娠中。私たちと同じ体型でしょ?身長135cm。とてもじゃないけど、10ヶ月持たない。前の子もそうだったけど7ヶ月ぐらいで帝王切開して、後は保育器で育てるの。そんな彼女の変わりはつけてあげるわ。それから『スーパーセル』よね?」


そうして私はスパイの真似事をする事になった。


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