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オムツと私たち  作者: 062


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小田(旧姓:水田)マリ(6)

「あまり子どもを舐めるからだよ」


そう言って夏樹は笑った。場に不思議な沈黙が訪れる。


((本当にこの2人は似ているわ))


図らずも舞とマリは同時に同じ事を考えた。

相手の犯罪を暴く情報収集、自分から罪を自白して相手にダメージを与える手管。どちらも事前に準備していなければできない。つまり事前準備段階で思考が似ているのだ。


そしてマリはつぶやくように言った。


「なんだか少し妬けるわ」

「え?」


舞が少し意外そうに反応する。「感情」を初めて向こうに感じたからだ。


「お互いに相手の事しか見てないのよ。まるでまぐわってる男女のようにね」

「そうなのかも、内容を抜きにすると2人とも楽しそうに見えるものね」


舞も同意する。しかし返ってきたのは全く予期してない言葉だった。


「ゆりあちゃんは私のために、こんな事をやっているのに」

「マリちゃん!」

「いいのよ。さっきのフルハウス対ファイブカードの負け分ぐらいは支払わないと」

「ホームチームが有利なのはどこも一緒でしょ?」

「それなら私だってここがホームとは言えなくもないわ」


そう言って語り出す。


「さっきはゆりあちゃんと夏樹ちゃんが似ているなんて思っていたけれど、夏樹ちゃんと私も共通点があるの。私もこの小学校に通っていたの。しかも、同じアパートの同じ301号室で入学から5年生までいた事よ。そして、あのベランダで私は死にかけた。2月の寒空の下、1週間放置されたの」


他の3人は黙って聴いている。


「その結果、母親は逮捕され、私は叔母に引き取られて転校したのだけど、後遺症が残った。それがおむつよ。長時間、低体温症だったせいで神経が一部壊死したの」

「その状態で佐藤ゆりあと出会った、と言う事か。なるほど、あなたがゆりあさんの『プロンプト』だったわけだ」


納得したように夏樹が言った。舞が疑問を口にする。


「プロンプト?って何?」

「AIに与える指示や質問の事だよ。『佐藤ゆりあ』という何でもできる天才に、目的を与えた。それが『ユリア・シンドローム』や

『テンペスト』を生み出した」


静かに夏樹が言った。

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