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オムツと私たち  作者: 062


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広井夏樹(5)

金曜夕方、市役所。


「それで補償額はどれくらいになりそうなんだ?」


宏の上司は戦々恐々といった感じで切り出した。


「こちらです。」


「15万!お前また、随分と値切ったな!市役所で公務員より商売でもしたらどうだ?」


上司はたちまち上機嫌になった。後半は冗談だと思っておく。


「それが相手の言い値です。風評被害どころか、我々のミスが大々的にネットニュースになり、来週から予約で一杯らしいです。」


「なるほど、広告費ゼロ円で随分と広まるものだな。それでお前、何でそんなに顔がひきつっているんだ?」


「疲れですかね?」


宏ははぐらかした。これも11歳の少女が起こした可能性がある事を。いや、宏は確信している。これは始まりにすぎないと。






「お休みの日でも、おむつにおもらし?夏樹ちゃんの家、狭いからトイレは近いのにw」


由香ちゃんからだ。今日は土曜日で学校は休みだからか、タブレットに長文で送ってくる。

確かにここ2日私はトイレを使っていない。朝は当たり前におねしょしてるし、おしっこしたいと思った瞬間、おむつが暖かくなっておもらししてる。昨日の夜なんて、晩御飯を食べてたらおむつに濡れた感覚が広まって、おもらししてた。


どうやって由香ちゃんは私のおもらしのタイミングを知ってるんだろう?と考えていたら、ママが私の部屋に入ってきた。


「夏樹、おむつを変えよう。」

「いいよ。自分で交換できるし!」


強く否定した私に怯まず、ママは「えい!」と強引に私を押し倒した。


「夏樹。最近、おもらしした事にも気づいてないじゃない?」

「そうだけど」


言いながら、サイドのギャザーが破かれ、おむつが開かれた。


「だから、今日はテープタイプを使ってみて。こっちの方が吸収量が多いのよ。」

「わかった。好きにして」


許可を得るとママは私の両足を軽々と持ち上げ、汚れたおむつを引き抜いた。すぐさま新しいおむつが下に敷かれる。ウエットティッシュでお尻を拭きながら、ママがつぶやいた。


「あら、大変。もうかぶれてる!」


そう言って居間の方から何かを持ってくる。


「ベビーパウダーよ。これ以上酷くならないようにね!」


おむつを前に使っていた事なんて覚えていないけど、ベビーパウダーは懐かしい甘い匂いがした。

その後おむつが閉じられてサイドからテープで止められた。いつも使っているパンツタイプより股のふわふわが厚くて、歩くとガニ股になりそうだった。


「うふふ、久しぶりだったわ。」


ママ、絶対楽しんでるよね?


「被れといえば、スマートウォッチも一度外した方がいいかもよ?2年のまさき君だっけ?夏にすごく被れたって、まさき君ママが言っていたわ」


ママの一言に閃く。


PCからPDFファイルを開く、スマートウォッチの取り扱い説明書だ。


(あった、これだ)


私の見ているモニターにはこう表示されている。


「トイレお知らせ機能」




同時刻。東京都千代田区霞ヶ関


「大臣、これを」


秘書官が差し出したタブレット端末を凝視する。


「詳しく調べて。それから警戒レベルを引き上げて」


それで彼女、佐藤ゆりあは不敵に笑った。


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