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オムツと私たち  作者: 062


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山中サクラ(3)

サクラは目を覚ました。


朝の光が部屋を照らし、何となく体が冷たい。布団の中で感じたその冷たさに気づいた時、サクラはすぐにその理由を悟った。


おねしょだ。


慌てておむつを確認すると、少し湿っている。寝ている間に、おしっこを漏らしてしまったのだ。


「ううっ…」


サクラは顔を真っ赤にして、布団の中で小さくうめいた。その日は、特におむつに慣れていないせいか、心の中でちょっとした恐怖が広がった。こんなことは初めてだったからだ。身体に感じるあの冷たさが、恥ずかしくて、どうしようもなかった。


「サクラ、おはよう!」


ドアを開けてママが入ってきた。サクラは必死に布団を引き寄せて顔を隠すが、ママはサクラの体調を気にしながら近づいてきた。


「今日、濡れちゃったんだね。大丈夫?」


と、優しく語りかけられた。サクラは答えられなかった。その恥ずかしさが、胸に重くのしかかっていた。


「でも、大丈夫よ。おむつで寝てたんだから、漏れちゃうのは当たり前だし。おむつがあってよかったね。」


ママは微笑みながらサクラの髪を撫でた。

その日から、おむつは当たり前になっていった。最初は恥ずかしさでいっぱいだったサクラも、母親の優しさに少しずつ慣れてきた。しかし、次第におむつを使うことが、ただの生活の一部に変わっていった。

1週間が過ぎ、サクラはおむつで過ごすことにだいぶ慣れてきた。学校も普通に行っていた。授業を受け、昼食を食べ、休み時間を過ごしているうちに、何度かおむつを交換する時間が来たが、それも自然に受け入れていた。

友達から心配されたが、サクラは「おむつを使ってるって大変だよね」と言われることに、何となく嬉しさを感じていた。それでも、少しずつ気になることが出てきた。おむつをしていても、昼間でも何度も濡れる感覚があることに気づくようになった。

そして、最も気になるのは、尿意が全く感じられなくなってきたことだった。

数日後、サクラは授業中に、おむつがぬれていることに気づいた。その時、ちょっとした違和感が身体の中に広がっていたが、尿意が全く感じられなかった。いつもなら、ちょっとした尿意でトイレに行きたくなるはずだったのに、それがなかったのだ。


「おかしい…」


サクラは心の中で呟いた。何かがおかしい。気づかないうちにおむつが濡れてしまっている。自分の体に異変が起きている気がして、胸が締めつけられるような気がした。

次の授業が始まるとき、サクラはそのことを誰にも言えなかった。おむつが少し濡れているのを感じるものの、どうしても誰かに言うことができなかった。そして、その後すぐに、気づけばおむつが完全にあふれてしまっていた。

その後、サクラは保健室へと連れて行かれる。途中で、学校の保健室の先生が


「大丈夫?おむつがちょっと漏れちゃってるみたいだけど」


と優しく声をかけてきた。恥ずかしさを感じながらも、サクラは無言でうなずいた。

保健室に到着し、先生はサクラに声をかけた。


「サクラちゃん、最近ちょっとおしっこのことについて気になることがあるんじゃない?」


サクラは黙ってうなずいた。


「実は…最近、全然おしっこをしたい感じがしなくて、それに気づいたらおむつが濡れていることが多くて。」

「そう…それはちょっと心配だね。」


先生は優しく言った。


「病院に行って、診てもらうのが一番いいかもしれないわ。おむつの使い方だけではなく、何か体の調子に異常があるのかもしれないから。」


サクラはその言葉にショックを受けた。おむつを使うことが普通だと思っていたけれど、体に何か問題があるのかもしれない。だんだんと尿意が感じられないことに、少しずつ恐怖を感じていた。

その日の帰り道、サクラは歩きながら考えていた。おむつを使うことが普通だと思っていたけれど、どうしてもその先にある「異常」のことが頭から離れなかった。尿意を感じなくなっていくことに、少しずつ恐れを感じていた。


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