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オムツと私たち  作者: 062


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山中サクラ(2)

サクラはまだ薄暗い部屋の中で目を覚ました。喉が少し渇いていたけれど、それ以上に気になるのはお腹のあたりの違和感だった。眠る前に水をたくさん飲んだからか、おむつ越しに膀胱が張っているのを感じる。


(あぁ、また…)


サクラはぼんやりとした頭で、自分がどうするべきか考えた。もう何度も経験している。トイレには行けない。行く必要もない。それでも、自然におねしょができるわけじゃなかった。

最初の頃は、布団の中で意識的に力を抜こうとしてもなかなか出せず、朝になって仕方なくトイレに行くこともあった。でも、今ではもうコツをつかんでいる。

サクラはそっと目を閉じて、ゆっくりと力を抜いた。


じわっ……


最初は少しずつだった。おむつの中に温かい感覚が広がっていくのがわかる。それでも、まだ全部は出し切れていない。サクラは軽く息を吐きながら、もう一度意識を向けた。


じょろじょろ……


ついに、勢いよく流れ出す感覚がした。おむつが膨らんでいくのを感じながら、サクラは力を抜いていく。すべてを出し切ると、少しだけ心地よさが広がる。温かい安心感。それに、ママが喜んでくれる。


(ママ、また褒めてくれるかな…)


サクラはそのまま目を閉じ、再び眠りについた。


「サクラ、起きる時間よ。」


ママの優しい声が部屋に響く。サクラはゆっくりと目を開け、まだ少しぼんやりした頭で体を起こした。おむつが膨らんでいる感覚が残っていて、昨夜のことを思い出す。

ママはサクラの隣に座り、優しく髪を撫でながら尋ねた。


「今朝はどうだった?」

「うん…ちゃんと、おむつで…」


サクラは少し恥ずかしそうに答えた。

すると、ママは嬉しそうに微笑んだ。


「よくできたわね、サクラ。少しずつ慣れてきたみたいね。」


その言葉に、サクラの胸がくすぐったくなった。ママは最近、サクラがおねしょをするのを心待ちにしているようだった。でも、まだ無意識におねしょをすることはできていない。毎晩、水をたくさん飲んで寝ているけど、夜中に目が覚めてしまう。


「ママ…」

サクラは少し迷いながら言葉を続けた。


「私、まだ…寝てる間にできないの。」


ママはサクラの手を優しく握った。


「大丈夫よ、焦らなくてもいいの。サクラは少しずつ、ちゃんと頑張ってるわ。」


その言葉に、サクラは少しだけホッとしたような気持ちになった。ママは決して焦らせることなく、ただ見守ってくれている。それが嬉しくて、少しでも期待に応えたくなる。


昼休み、サクラは保健室へ向かっていた。いつものようにおむつを交換するためだ。

保健室に入ると、先生が優しく声をかけてきた。


「こんにちは、サクラ。おむつの交換ね。」

「はい、お願いします。」


保健室のベッドに横になると、先生は慣れた手つきでサクラのおむつを交換してくれる。サクラは恥ずかしさを感じつつも、これが日常の一部になっていることを実感していた。

交換が終わり、サクラが保健室を出ると、友達のミキとハナが待っていた。


「サクラ、また保健室行ってたの?」


ミキが少し気を使うように聞いてくる。

「うん、おむつ交換してもらってたの。」


サクラはできるだけ明るく答えた。


「…大変だね。」


ハナが申し訳なさそうに言う。


「トイレ使えたらいいのに…」

「大丈夫だよ。」


サクラは笑ってみせる。


「もう慣れたから。」


ミキとハナはそれ以上何も言わなかったが、サクラのことを気にかけているのは伝わってきた。


放課後、家に帰ると、ママがいつものように出迎えてくれた。


「おかえりなさい、サクラ。」

「ただいま、ママ。」

「今日もちゃんとおむつで過ごせた?」

「うん、昼休みに保健室で交換してもらったよ。」


ママは微笑みながらサクラの頬に手を添えた。


「偉いわね。サクラはちゃんとこの生活に馴染んできてる。」


サクラは少し照れながらも、ママの言葉に嬉しさを感じていた。いつか自然におねしょできるようになれば、ママはもっと喜んでくれるのかもしれない。

サクラはそんな期待を抱きながら、今日もおむつで過ごす日常を受け入れていくのだった。


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