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オムツと私たち  作者: 062


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山中サクラ(1)

何でもない土曜日の朝、ママから唐突に言われた。


「サクラ、今日からおむつで生活してね」

「おむつ?」


サクラは一瞬、自分の耳を疑った。そんなこと、言われたことがなかった。おむつなんて、もう何年も前に卒業したはずだ。自分がいま15歳だというのに。


「そう、今日からおむつをつけるわ。」


ママは無表情で続けた。


「あなたのためでもあるし、あなただけじゃなく、あなたの未来のためにも必要なの。」

「未来?」


サクラは理解できなかった。ママは、サクラに何の説明もなくおむつを手渡した。その無機質な感触がサクラを困惑させたが、ママの強い意志に従わなければならないという思いから、しぶしぶそのおむつを受け取った。


「これ、なに?」


サクラは動揺しながら、おむつを手に取った。


「あなたの才能を開花させるために必要なことなのよ。おむつをつけて、あなたが特別な力を手に入れるの。」


ママは静かに告げた。その言葉の意味を、サクラは理解できずにただ茫然とするばかりだった。


「まさか、こんなこと…」


心の中でつぶやいたが、言葉にすることすらできなかった。一度、ママに言われたことに従う以外、選択肢はなかった。

そしてサクラは、おむつをつけたまま、普段通りの朝食を取ることになった。だが、トイレに行けない状況があまりにも不自然で、心の中で焦りが募った。普段ならトイレで済ませていたはずのことを、こんな形で抑制されているのが不安でたまらなかった。

昼食後、少しずつサクラの膀胱が重くなっていくのを感じた。最初はなんとなく違和感がある程度だったが、時間が経つにつれ、次第に尿意が強くなっていく。


(トイレに行きたい…でも、ダメなんだよね…)


ちらりとママの方を見たが、ママは穏やかに微笑んでいるだけだった。それが、「おむつを使いなさい」という無言のメッセージであることは明白だった。

サクラはそっと足を閉じる。お腹に力を入れ、できるだけ耐えようとする。

だが、尿意はじわじわと強くなっていく。下腹部に鈍い圧迫感が広がり、次第にそれは焦りへと変わっていく。


(もう限界かも…)


サクラは必死に堪えようとしたが、次の瞬間——。

じわ…

熱い感覚が広がる。

「あ…」

一度流れ始めたものは止まらなかった。おむつの中にじわじわと広がっていく温もり。

サクラの頬が真っ赤に染まる。

目の前で、ママはゆっくりとうなずいた。


「よくできたわ、サクラ。」


その優しい声に、サクラはただ震えるばかりだった——。

目を覚ますと、ママがすでに部屋に来ていた。


「おはよう、サクラ。今日は土曜日よりもっとリラックスできる日よ。」

「うん、ありがとう…」


まだ少し寝ぼけたまま、おむつの存在を意識する。温もりが残る感触が、昨日の出来事を思い出させた。

朝食の後、またトイレに行きたくなった。


「ママ、トイレ行ってもいい?」

「今日はもう少しだけ、おむつに慣れましょうね。」


サクラは不安そうにしながらも、ママの言葉に逆らえず、そのまま過ごすことになった。

ソファに座りながら、本を読んでいたときだった。お腹の奥が急に重くなり、じわじわと圧力がかかってくる。


(また…)


サクラは唇を噛みしめる。昨日と同じ感覚が襲ってきた。でも、今日はママの前で泣きそうになるわけにはいかない。

尿意は徐々に強まり、下腹部をギュッと締め付けるような感覚が広がる。脚をぎゅっと閉じるが、波のように繰り返し押し寄せる尿意に、次第に抗えなくなっていく。


(ダメ…もう無理…!)


瞬間、熱い感覚が広がった。


「はぁ…」


サクラの目から涙がにじむ。

そんなサクラの頭を、ママは優しく撫でた。


「よくできたわ、サクラ。少しずつ慣れていけばいいのよ。」


ママの言葉に、サクラの胸が少しだけ軽くなる。恥ずかしい気持ちはあるけれど、褒められることは悪い気分ではなかった。

夜、布団に入る前、ママが静かに言った。


「明日からも、このまま続けましょうね。」


サクラは少し戸惑いながらも、ゆっくりとうなずいた。


(…ママが言うなら、きっとこれが正しいんだ。)


そして、ママが微笑みながら続ける。


「明日からは学校でもね。」

「……え?」


サクラの心臓が跳ね上がった。まさか、学校でも?


「大丈夫よ、サクラ。あなたならできるわ。」


ママの優しい声に、サクラはぎゅっと布団を握りしめる。明日から学校——。

その事実に緊張しながらも、どこかで「できるかもしれない」と思う自分がいた。

おむつの感触を確かめながら、サクラは静かに目を閉じた——。


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