山中サクラ(1)
何でもない土曜日の朝、ママから唐突に言われた。
「サクラ、今日からおむつで生活してね」
「おむつ?」
サクラは一瞬、自分の耳を疑った。そんなこと、言われたことがなかった。おむつなんて、もう何年も前に卒業したはずだ。自分がいま15歳だというのに。
「そう、今日からおむつをつけるわ。」
ママは無表情で続けた。
「あなたのためでもあるし、あなただけじゃなく、あなたの未来のためにも必要なの。」
「未来?」
サクラは理解できなかった。ママは、サクラに何の説明もなくおむつを手渡した。その無機質な感触がサクラを困惑させたが、ママの強い意志に従わなければならないという思いから、しぶしぶそのおむつを受け取った。
「これ、なに?」
サクラは動揺しながら、おむつを手に取った。
「あなたの才能を開花させるために必要なことなのよ。おむつをつけて、あなたが特別な力を手に入れるの。」
ママは静かに告げた。その言葉の意味を、サクラは理解できずにただ茫然とするばかりだった。
「まさか、こんなこと…」
心の中でつぶやいたが、言葉にすることすらできなかった。一度、ママに言われたことに従う以外、選択肢はなかった。
そしてサクラは、おむつをつけたまま、普段通りの朝食を取ることになった。だが、トイレに行けない状況があまりにも不自然で、心の中で焦りが募った。普段ならトイレで済ませていたはずのことを、こんな形で抑制されているのが不安でたまらなかった。
昼食後、少しずつサクラの膀胱が重くなっていくのを感じた。最初はなんとなく違和感がある程度だったが、時間が経つにつれ、次第に尿意が強くなっていく。
(トイレに行きたい…でも、ダメなんだよね…)
ちらりとママの方を見たが、ママは穏やかに微笑んでいるだけだった。それが、「おむつを使いなさい」という無言のメッセージであることは明白だった。
サクラはそっと足を閉じる。お腹に力を入れ、できるだけ耐えようとする。
だが、尿意はじわじわと強くなっていく。下腹部に鈍い圧迫感が広がり、次第にそれは焦りへと変わっていく。
(もう限界かも…)
サクラは必死に堪えようとしたが、次の瞬間——。
じわ…
熱い感覚が広がる。
「あ…」
一度流れ始めたものは止まらなかった。おむつの中にじわじわと広がっていく温もり。
サクラの頬が真っ赤に染まる。
目の前で、ママはゆっくりとうなずいた。
「よくできたわ、サクラ。」
その優しい声に、サクラはただ震えるばかりだった——。
目を覚ますと、ママがすでに部屋に来ていた。
「おはよう、サクラ。今日は土曜日よりもっとリラックスできる日よ。」
「うん、ありがとう…」
まだ少し寝ぼけたまま、おむつの存在を意識する。温もりが残る感触が、昨日の出来事を思い出させた。
朝食の後、またトイレに行きたくなった。
「ママ、トイレ行ってもいい?」
「今日はもう少しだけ、おむつに慣れましょうね。」
サクラは不安そうにしながらも、ママの言葉に逆らえず、そのまま過ごすことになった。
ソファに座りながら、本を読んでいたときだった。お腹の奥が急に重くなり、じわじわと圧力がかかってくる。
(また…)
サクラは唇を噛みしめる。昨日と同じ感覚が襲ってきた。でも、今日はママの前で泣きそうになるわけにはいかない。
尿意は徐々に強まり、下腹部をギュッと締め付けるような感覚が広がる。脚をぎゅっと閉じるが、波のように繰り返し押し寄せる尿意に、次第に抗えなくなっていく。
(ダメ…もう無理…!)
瞬間、熱い感覚が広がった。
「はぁ…」
サクラの目から涙がにじむ。
そんなサクラの頭を、ママは優しく撫でた。
「よくできたわ、サクラ。少しずつ慣れていけばいいのよ。」
ママの言葉に、サクラの胸が少しだけ軽くなる。恥ずかしい気持ちはあるけれど、褒められることは悪い気分ではなかった。
夜、布団に入る前、ママが静かに言った。
「明日からも、このまま続けましょうね。」
サクラは少し戸惑いながらも、ゆっくりとうなずいた。
(…ママが言うなら、きっとこれが正しいんだ。)
そして、ママが微笑みながら続ける。
「明日からは学校でもね。」
「……え?」
サクラの心臓が跳ね上がった。まさか、学校でも?
「大丈夫よ、サクラ。あなたならできるわ。」
ママの優しい声に、サクラはぎゅっと布団を握りしめる。明日から学校——。
その事実に緊張しながらも、どこかで「できるかもしれない」と思う自分がいた。
おむつの感触を確かめながら、サクラは静かに目を閉じた——。




