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オムツと私たち  作者: 062


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橋本花乃(6)


思い返せば、わたしにとって一番長い日だったかもしれない。


家に帰り着き、ケーキを冷蔵庫にしまう。ママが程なくしてマイバッグいっぱいの食料品を仕分けていく。その途中で風乃(かざの)が帰って来た。


「ただいまぁ〜」

「おかえり」

「お母さん、美術の授業で作ったコレ飾っていい?」


そう言って出したものは、料理店にある有名人のサインを1/4ぐらいのサイズにした色紙だった。わたしも2年前に美術の授業で作ったので覚えている。その年に習ったレタリングや色彩感覚を使った作品を作るのだ。ちなみにわたしは自分の部屋のネームプレートを作った。それに対して風乃はトイレのプレートを作ったらしい。青と赤の人型のピクトグラムの下に「toilet」とレタリングされた文字が入っている。え、あれ?


「お姉ちゃん、どうしたの?」


まるでわたしの異変を知っているかのように風乃がわたしに問いかける。それを聞いたママがわたしのスカートをめくる。


「花ちゃん!トイレしたかったの?」


わたしは素直に答える。


「気がついたら出てた」

「お姉ちゃん、それもう幼児の言い訳じゃん・・・」


呆れた様に風乃が言う。聞いたママも同じような表情だった。


もうわたしもおむつは嫌だとか言える空気ではなく、妹用のおしり拭きで綺麗にしてパンツタイプのおむつを履いた。


(数時間後)


「ハッピーバースデー!月乃(つきの)!」


わたしとママと風乃が揃って歌う。ロウソクを吹き消して、クラッカーを鳴らす。


「月乃ちゃん、誕生日プレゼントよ」


と言ってママが紙袋を渡す。出てきたのは絵本と児童書の中間ぐらいの本だった。わたしも似たようなものをプレゼントされた記憶がある。


「こっちは私とお姉ちゃんからだよ!」


そう言って風乃もプレゼントを取り出す。わたしは何も聞いてなかったけど、どうやら風乃が気を使ってくれたらしい。あとでお礼をしておこうと思う。月乃が袋を開けて中身を取り出す。


「風乃と同じデザインのショーツだよ。ほら、今も着けてるのと同じもの。聞いたよ。ついに夜も失敗しなくなったんだって?」


自分のパンツをチラッと見せて風乃が言う。


「うん!ありがとうお姉ちゃん!」


月乃とわたしのテンションが反比例のように入れ替わる。プレゼントを選んだ風乃に悪意はないと思う。風乃は学校から帰って来て、わたしの状況を知ったはずだから。でも、あまりのタイミングの良さにわたしはうつむいてしまう。


花乃(かの)お姉ちゃん、あたしのおむつも使っていいよ!」


元気よく月乃が言う。





こうしてわたしは昼も夜もおむつを使うようになった。

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