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オムツと私たち  作者: 062


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橋本花乃(5)


「おむつはイヤ。わたし、赤ちゃんじゃないもん」


わたしの答えを予想していたみたいにママがため息を1つ吐く。


「じゃあこうしましょう。今から晩ご飯用の食材とおむつを買って帰ります。2時間ちょっとかかるから、それまでにそのおむつを使わなければパンツで卒業式に出てもいいわ」



こうしてわたしの我慢大会が幕を開けた。


ショッピングモールのメインテナントであるスーパーに移動して、買い物を始める。買う食材からして今夜はすき焼きらしい。そういえば、今日は月乃(つきの)の誕生日だった。


「私、月ちゃんのプレゼントを買ってくるから、花ちゃんはケーキをお願いしていい?」


「はーい」と元気よく返事して、テナントの洋菓子店に行く。月乃の好きそうなチョコレートのケーキを選んでプレートに名前を入れてもらう。受け取る頃にはプレゼントをあらかじめ決めていたのだろう、ママも合流した。あれ?この感じは・・・・・・


「ママ、トイレ!」

「え!もう後は帰るだけだから、30分ぐらいだけどどうする?」


ママはわたしに判断を委ねた。この感じだと30分ぐらいなら我慢できる気がした。わたしはそれでもママにルールの確認をした。


「ママ、ここでトイレに行ったら卒業式はどうなるの?」


「そうね。引き分けだから、延長戦かしら?」


少し前のわたしなら、迷わずに我慢して帰宅を選んだだろう。でも、ここ最近でわたしはわたしの膀胱と括約筋を信用できない。


「それじゃ、トイレに行く。もうおもらししたくない」


「そうね。偉いわ。でもテープタイプのおむつだから、さっきと同じトイレに行きましょうね」


ママがわたしに優しく言う。すぐにトイレが見えて来た。女性用のトイレの入り口前を通ってみんなのトイレの前に行く。


直後に違和感を感じる。おむつの吸水ポリマーが水分を吸って重くなる。あと少し、もうちょっと!


(イヤだ!認めたくない!)


おむつをつけているので、ママも含めて誰も周囲にわたしの異変に気づかない。そのうちにトイレの中に入って、ベットに寝かされる。


「じゃあ、外していくわね・・・・・・あら?花ちゃんもしかして?」


「ごめんなさい。今、出ちゃった」


認めたくない事実をママに報告する。

ママがにっこりと笑ってわたしに言う。


「花ちゃん、お昼もおむつでいようね」

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