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オムツと私たち  作者: 062


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橋本花乃(4)


わたしの膀胱は決壊した。


本来ならばその場に水たまりをつくって、周りの人におもらしの事実を知らしめるところだったがそうはならなかった。


理由は2つで、1つ目は括約筋である。100%止める事はできないが、70%ぐらいはおしっこを止めてくれていた事。おかげで時間が稼げた。2つ目はママが「こっちよ」と手を引いて、わたしを別の場所に連れて行った事である。おしっこをちびりながら着いた場所は女子トイレの隣、「みんなのトイレ」だった。


「よかった、スカートは濡れてないみたいね。まだ出る?」


ママがわたしに尋ねる。わたしは首を縦に振る。


「じゃあ、スカートをたくし上げてそのまましちゃおうか。パンツはもうビチョビチョだから、汚してしまっていいわ」


言われた通りにスカートを持ち上げ、便器にまたがって力を抜く。一度外に出たママが何かを買って来た。


「最近は便利ね。ジュースの自販機でおむつもおしり拭きも売ってるなんて!」


おもらししたわたしに逆らえる理由も気力もなく、わたしはおむつを着けられる。いつも寝る時に着けているパンツタイプではなく、テープタイプなのでおむつ交換用ベッドに移動してである。このベッドを使ったのはおそらくわたしが最年長になるだろう。そんな事を思っていたら、ママがわたしに尋ねた。


「卒業式、どうしようか?今日の映画と同じくらいの時間がかかるけれど?」


10日後には卒業式がある。この状況や事実を全て見ない事にして、わたしは答えた。


「おむつはイヤ。わたし、赤ちゃんじゃないもん」

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