右手をあげたら、左足もあがっちゃう人
授業参観だけ、張り切る子供にだけはなりたくなかった。
でも、なってしまった。普段は、手を全くあげていない。
答えが分からない、とかではない。問題を、聞いていないのだ。
今回の授業参観も、張り切りたい。でも、大変なことになった。
奇妙な症状を、友達にうつされた。いつうつされたかは、定かではない。
その症状というのは、右手をあげたら、左足もあがっちゃうやつだ。
それだけならいい。それに加えて、左手をあげたら、右手もあがっちゃう人、でもあるのだ。
後ろを振り返る。ピンクの正装の母が、手を振ってる。ニコニコと。
道徳の授業だ。道徳は、ダントツで答えやすい。だから、好きだ。
「ここは、どうすればよかったかな。分かる人」
分かるけど、ここは様子見だ。まずは、状況を見る。
ドンッ。ドドドドンッ。
大きな音がした。それも、ひとつではない。明らかに、5つ以上の拍子があった。しかも、その音は、厚みがあった。
これは、もしかしたらあれだ。クラス全員、右手をあげたら、左足もあがっちゃう人だ。