サークル見学について③
「ここって、漫画研究会であってますよね?」
心配になったのだろう。少し戸惑いながら、鈴原産が眼鏡の人に話しかける。
「そうですよ。ここは漫画研究会、通称漫研の部屋です。お三方も漫研でいいですよ。」
「僕たち、漫研の見学にきたんです。もしよければ、少し見させていただいてもいいですか。」
松比良が眼鏡の人に尋ねる。
「もちろんです。あ、自己紹介がまだでしたね。私は、町中 茂。この漫研の部長をしています。そして、左右の2人は中川路 堅一と中川路 堅二。双子なんですよ。」
「け、けんいちです。」
「けんじです。」
やはり双子なのか。顔がそっくりだもんな。
「僕は松比良海渡です。そしてこちらが。」
「鈴原綾美です。」
「伊知地彰夫です。」
俺たちも自己紹介をする流れになった。
「それで、漫研はどのような活動をしているのですか?」
「うん。漫研は名前の通り、漫画を研究する会です。普段は自分が読んだ漫画についてはなし合ったりしています。たまに漫画を描いたりもしますね。」
「なるほど。ありがとうございます。ちなみに、メンバーは何人ほどいるのですか?」
「これで全員です。3人で活動しているんですよ。というのも、この漫研を作ったのはつい昨年なんです。だからまだはじまったばかりなんです。」
「そうなんですね。では、ここに入っても大丈夫でしょうか。」
「ほんとうですか?是非是非。よろしくお願いします。」
「こちらこそよろしくお願いします。堅一さんも堅二さんもよろしくお願いします。」
「「よ、よろしく。」」
「それでは、また来ます。」
「もういいのですか?」
「はい。入ることもできましたし。では、失礼します。」
「「失礼します。」」
おれたちもそれにならった。3人で部室を出る。
扉の向こうからは、
「いやー。今日はめでたい。新入部員が増えました!」
「おにいちゃん、どうしよう。きんちょうしてなにもはなせないよ。」
「おちつけ弟よ。ぼくもおんなじだ。」
「よかったよ~。」
という声が聞こえてくる。
「本当に即決してよかったのか?」
「ああ。もともと漫研はあそこしかないし。それに人数が少ないからな。」
「人数が少ないと、どういいの?」
「話しやすいからな。」
それな。心の中で俺もそうつぶやく。
「よくわかんないな。でも、松比良くんが決めたんならそれでいいと思うよ!」
大人数でうぇーいと騒ぐよりも、人が少ない方がなんとなく話しやすいのだ。だが、2人っきりになると逆に話しにくくなる。3、4人程度がちょうどいい。
この感覚はわかってくれる人もいれば、鈴原さんのようにわからない人もいるのだろう。しかし、感覚の話になってくるため、説明するのもなかなか難しい。
ただ一つ、いえることがあるとすれば、俺もこいつも、根は陰キャよりなんだろうなぁ、ということだけだ。




