サークル見学について②
サークルにはそれぞれ1つずつ部屋が与えられており、それらが集まったサークル棟が大学の端の方にいくつか存在する。
その中でも、漫研は一番右端の棟の2階に位置していた。
サッカーや野球、テニスのようなキラキラしたグループがたくさん集まっている様子を横目に、俺たちは漫研がある棟を目指していく。
「これが陽キャの集団・・・」
「まぶしいな。」
「まぶしすぎんだろ。チャラチャラして、いかにも大学生って感じのやつらがたくさんいるぞ。」
俺と松比良はすこし距離を取って歩く。
「いろんな髪色の人たちがいるね。すごーい。」
鈴原さんは興味深そうに陽キャたちを見ている。
高校のころはみんな黒色だったのだろう。真面目な生徒が多い学校だったのかな。
「漫研もチャラチャラしてたらどうするんだ?」
少し気になって、松比良に首をかしげながら質問してみた。
「首をかしげるな。俺に色目を使っても意味は無いぞ。」
「かわいいかと思ったんだが。」
さっきの鈴原さんにならって、俺もやってみたんだが、あまり好評ではないようだ。
「それでどーすんだよ。」
「そのときはそのときだな。しゃべってみないとなんともいえん。」
「そりゃそうだ。」
「だが、俺個人としてはキラキラしている人間はどちらかというと苦手な部類に入る。よって、キラキラしていないとうれしい。」
「俺もそうだとありがたい。」
「わたしもどっちかというとキラキラしてないほうがいいかなぁ。」
「ほう。鈴原さんはどちらかと言えばキラキラしているタイプだと思っていたが。」
「うーん。どうなんだろ。あんまり自分ではわからないかなぁ。」
「そんなものか。」
「そんなものだよ。」
鈴原さんはそういうが、俺は自分のことをよく知っている。10人に中10人がキラキラしていないと答えるだろう。
だが、ぶっちゃけ人並みにコミュニケーションは取れるほうかなとは思っている。というか思いたい。思わせてくれたっていいじゃないか。
生きていく上で自己分析は大切である。
「あそこじゃないか。」
松比良が指を指したその先には、ドアが一つ。ドアには「漫画研究会」と書いてある紙が貼られている。
「あそこっぽいねぇ。ノックしてみる?」
「そうだな。言い出しっぺは俺だ。ノックしてみよう。」
「ノック2回はトイレだからね。気を付けて。ファイトー。」
鈴原さんが小声で松比良を応援する。うらやましいなぁ。
コン。コン。コン。
「誰かいませんか。漫画研究会を見学したいのですが。」
松比良がドアの向こう側に語りかける。
「はーい。」
中から声がする。
ぎぃとドアが開き、中が見える。
中には長机が真ん中に並んでおり、その周りには椅子が4,5脚。そのうちの3つはすでに人が座っていた。
思っていたより中は明るい。
「失礼します。」
松比良を先頭に俺たちも入っていく。
「「失礼します。」」
「どうも。こんにちは。」
「どうも。」
「どうも。」
中にいる3人がそれぞれ返事をする。
「いらっしゃい。」
真ん中に座る、細身で眼鏡をかけた男性が俺たちに話しかける。
左右の2人はすぐに目をそらした。2人とも身長は俺と同じくらいだろうか。2人も眼鏡を掛けているが、真ん中の人とは明らかに違うのは、しっかりとした脂肪がついているところだろうか。
「お、女の人がいるでござる。」
「ほんとうでござるな。しかもかわいいですな。」
「わ、わからんでござる。こんな展開、予想してなかったんですな。」
う~ん。実に香ばしい。
よかった。俺たちの苦手なキラキラした集団ではなくて。これなら安心して話すことができそうだ。




