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ママチャリ

「あれじゃないか?」


松比良がどうやら自転車の絵が描いてある看板を発見したようだ。


「多分そうだろな。」


一応、携帯で確認してみる。


「あれだな。」


「今日はとりあえず見るだけだけど、何かいいのがあるといいな。」


「おう。それなりにしっかりしたママチャリがあればいいな。」


「4年間使うんだもんな。それなりの値段するだろうが、いいのを選ばないとだな。」


「そうだな。とりあえず行ってみるか。」


さっきまでよりも少しだけ足の回転を速くして、お店に駆け寄っていく。

自転車屋の前には、店員がイチオシなのかわからないがきれいに塗装された銀色に輝く自転車が何台か並んでいる。かごからスポークまで、何もかもが美しく磨かれているためか、それとも元々きれいなのかはわからないが、太陽の光を全面に受けて光っている。そのひかりがこちらにまでとどいてくるため、俺たちは目を細めた。


「この前に出ているやつでいいんじゃね?値段的にもなんとかなりそうだしよ。」


ハンドルのところに値札が書いてあるラミネート加工された紙が貼ってあり、ほとんどの自転車は2万~3万の価格帯である。


「まてまて、まだ決めるのは早いだろう。とにかく中に入ってみよう。」


「まあそうか。」


ガラガラと左右両方に開くガラス張りのドアを開けると、奥に長く続くお店である事がわかった。両壁には3段に分けられて自転車が掛けられており、真ん中にはずらっと2列自転車が並んでいる。どうやら、真ん中の2列がいわゆるママチャリタイプで、両壁にあるのはクロスバイクやマウンテンバイク、ロードバイクが掛かっているようだ。ぐるっと店内を一周回る。


「これはすごいな。」


松比良の声には驚嘆が混じっている事がわかった。松比良の目線の先には赤と黒を基調としたロードバイクがあった。


「こりゃすごい。」


俺も同じ事を言ってしまうほどに高い。ほとんどの学生では手が出ない値段である。


「まあこれはお金持ちが趣味でやるタイプなんだろうな。」


「これは買っても傷つくのがこわくてのれねぇよ。」


「それはそうだ。」


「俺らのお目当ては真ん中2列だな。両サイドはまたいつか、お金が貯まったらな。」


「そうだな。ママチャリママチャリ。」


どれにしようか迷いながら、大量に置かれているママチャリを見ることにした。


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