学食へ行こう①
「すみません。俺も最後の方はうとうとしてしまいました。」
意気込んだにもかかわらず、俺もうとうとしてしまっていた。だってよくわかんないんだもん。行ったこともない施設の紹介が続いたら、寝ちゃっても仕方ないよね。てへぺろ。
「いいよいいよ。私も寝ちゃったんだし。それに私を起こそうとしてくれてたんでしょ。起きなくて私こそごめん。」
かわいい。許す。
「すまん。俺も寝てた。」
かわいくないから許さない。
「昨日、なかなか眠れなくてな。自分が思ってたよりも楽しみにしてたみたいだわ。」
松比良は少し照れているようだ。
なかなかかわいいところもあるじゃねーか。仕方がないのでそのかわいさに免じて今日のところは許そう。むしろ一番かわいくないのはてへぺろとか考えている俺である。でも口に出してないからセーフだもんね。それにかわいいかどうかで判断するのはいけないと思います。
オリエンテーションが終わって、今は午前11時半。少し早いが、お昼ご飯にしてもいいくらいの頃合いだ。
「とりあえず、いまからはご飯を食べに行こう。学食にするか、近くのご飯やさんに食べに行くかのどっちがだな。」
「私は学食に行ってみたいな。なんだか大学に来たって感じがするじゃない。」
「わかる。学食なんて漫画でしか見たことないからな。」
学食がある高校もあるようだが、ない高校の方が多いのではなかろうか。俺や松比良が通っていた学校にはなかったので、俺たちにとって学食は新鮮なものである。その口ぶりからすると、どうやら鈴原さんの高校にもなかったようだ。
「なら学食に行こうか。」
俺はそう言って、歩き出す。
「なぜそっちだとわかるんだ。」
「なんでってそりゃ、さっきのオリエンテーションで紹介されてたじゃねーか。あ、君はそのとき寝てたんだったっけ。」
「お前も寝ていたじゃないか。」
「俺は起きてたもーん。うとうとしてたのは最後の2,3分だけだし。」
「寝てたことには変わりはないじゃないか。」
「寝てたんじゃないんですー。うとうとしてただけですー。」
「一緒だろ。」
「違いますー。」
そんな言い争いをしていると、うしろから鈴原さんのクスクスと言う笑い声が聞こえる。
「本当に仲いいんだね、二人って。」
「仲いいというか、まあ結構長い付き合いだしな。」
「仲はいいと思うぞ。」
おいおい、照れるじゃねーか。
「私とも仲良くしてね。」
「もちろんですとも。」
「ああ、よろしくな。」
「よーし。それじゃあ、お互いの中も確かめ合ったことだし、ご飯を食べに行こー。」
鈴原さんは右手を握りしみて上に突き上げた。




