コンビニにて
コンビニまでのラストスパート。
約束の時間に間に合いそうなので、早歩き程度のスピードで最後の角を曲がった。
コンビニには松比良らしき人影があるのが確認できるが、その横にもう一人誰かいるように見える。目を細めて誰なのか見ようとするが、なかなかわからない。
だれかあいつの知り合いでもいたのか?
向こうがおれに気づいたのだろう。2人がこちらに手を振っている。
どうやら俺のことを知っている人らしい。
もう少し近づくと、その人物が誰なのか判別できた。
昨日の天使ではないか。
天使こと、鈴原綾美さん。俺と同じ大学1年生で昨日連絡先を交換ゲットした人だ。
朝から会えるなんてなんていい日なんだ。
「おはよう。昨日ぶりだね。」
「お、おはよう。」
また少しキョドってしまった。
「おはよう。昨日は遅刻で、今日は遅刻ギリギリだな。一人暮らしにまだなれてないのか」
「学校が楽しみすぎて眠れなかったんだよ。」
「遠足前の小学生かよ。まあ、気持ちはわからんでもないがな。」
こうやってただ突っ込むだけじゃなく、人の言うことに理解を示すのは彼の会話のテクニックの1つである。自分もわかると言われると、なんだかいやな気はしない。
なんだか心苦しくなったので本当のことをいうことにした。
「あと、昼寝してたら中途半端な時間に起きちゃって、そのまま夜更かししちゃったんだよ。」
「絶対それが理由だろ。」
「ぐ…ぐぬぬ。」
正論で返されたため、何も言い返せない。
「ぎりぎりになって悪かった。明日からは気を付ける。」
それにしても、ずるいぞ松比良。一人だけ鈴原さんとの中を深めやがって。
「私も今日が楽しみであんまり眠れなかったんだ。」
フォローを入れるように鈴原さんがそう言った。ああ、かばってくれてありがとう。
「それよりも、そろそろ行かないと学校遅れちゃうよ。」
「それもそうだ。行こうぜ。」
「ギリギリにきたやつが仕切るんじゃない。」
苦笑いしながら松比良が言う。
「冗談だよ。ツッコミありがとう。」
突っ込んでくれないと後から来て仕切るちょっとイタいやつになっちゃうところだったよ。
俺を含む三人は学校へと歩き出す。