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女王の龍は暁光に舞う  作者: 瀬尾ゆすら
第1章 旅立ち
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第2話 アルフレッドとリサ王女<1>

「ようやく完成なのですね、アルフレッド様」

「このような素晴らしい発明に携わることができて、本当に光栄です」


 春の日の昼下がり、アルフの研究室の一角で。

 ようやく完成した大型飛空二輪「エヴァン」を背に、部下の研究員たちが晴れやかな顔でアルフを労ってくる。アルフは彼らひとりひとりと握手を交わし、感謝の言葉を述べた。


「『空を飛んでみたい』――20年間抱き続けてきた夢を叶えることができた。君達がいなければできなかったことだ。本当に感謝している」


 研究室の大発明「エヴァン」は、周りに長身だとよく言われるアルフよりも全長の長い二輪車だ。車体は黒く、前方にはハンドルが設置されている。このハンドルを捻ると、車体内部の魔石が魔力を発する。

 この魔力を動力として、エヴァンは地上および空中を自在に駆ることができるのだ。


 アルフに感謝を述べられた研究員たちは、ある者は誇らしげに胸を張り、ある者は瞳に涙を浮かべていた。中にはアルフより倍近く年上の研究員もいる。だが、この部屋の中では、年齢などただの記号にすぎない。研究員たちはみな、科学者としてのアルフの頭脳および才能を高く評価し、その背中を追っていた。


「それから、皆も知っていると思うが、俺はしばらく休暇に入る」


 全員との握手を終えたアルフは、部下ひとりひとりの顔が見える位置に移動した。「エヴァンが完成したら、1年ほど休暇をとる」というのは、(かね)てからから周囲に伝えていたことであった。


「休暇の目的は二つだ。一つ目は、これ(エヴァン)が長期的な飛行に耐えうるかどうかの実験。そして、もう一つは――」


 そのとき、研究室のドアが勢いよくノックされて、アルフは必然的に言葉を止めることとなった。


「来客ですかね?」


 ドアから最も近い距離にいた女性研究員が、慣れたように「どうぞ」と言いながら木製の扉を開ける。この研究室に客が来るのはそう珍しいことではない。

 だが、開いた戸から姿を現した人物のあまりの珍しさに、その場にいた人々はみな飛び上がらんばかりに驚いた。


「お、王女様!?」


 そこに現れたのは、前王エリック・ディールの一人娘でありこの国の姫、リサ・ディールだった。

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