イブのドミノピザ
一昨日、つまり2025年12月23日の夕方、妻が言った。
「明日の夕方6時は取れへんかったけど、6時10分が取れた」
「ほう、それはよかった。で、何が取れたんだ?」
「ドミノピザの予約」
ピザとの戦いはまだ続いていたようだ。聞けば今回は配達ではなく、こちらが店に取りに行くのだという。
私は感動した。ここ数年、クリスマス当日になってピザの配達を注文しようとしては、さまざまな挫折を味わってきた妻が、今回はなんと23日に予約を入れたのだ。しかも配達ではなく持ち帰りだから、待ち時間は短くなるだろう。わが妻は成長している。
自転車で取りに行こうかと言うと、車でなければ無理だろうとのこと。
いくら持っていけばいいのかと聞くと、もう支払ったとのこと。
スマートフォンで支払ったのだろう。私はスマートフォンを持っていないので、よくわからないが、受け取りのときにも妻のスマートフォンが必要になるのだろうか。
翌朝、つまり二十四日の早朝、所用で出かけた帰りにドミノピザの場所を確認しておいた。こんなに近くにあったとは。一つ北側の大きな通りにあるセブンイレブンにはよく来るし、セブンイレブンに来た帰りには、この店の前を通っているのだ。それなのに、ここにドミノピザがあるという認識がなかった。
受け取り予約時刻を少し過ぎてから、妻を車の助手席に乗せて、店に向かった。
着いて驚いた。人の多さに。
店の中には十人ぐらいの人が待っていて、店の外には三十人以上の人が待っている。
幸いにも車一台を止めるスペースがあった。
それにしても、この人たちは全員並んで待っているのだろうか。だとすると、私たちは最後尾ということになる。待ち時間も相当なものになるだろう。しかし、この人たちは、一列に並んでいるわけでもない。
妻が待っている人たちの一人に話しかけた。すると、その人も電話で受け取り時刻を予約したのだが、早めに来たのだという。なるほど、そういう人もいるわけか。待っている人たちの中には、予約せずに来店して店頭で注文した人もいるのかもしれない。
そうこうしていると、店員さんがドアのところに出てきて、お客さんの名前を読み上げた。そのお客さんが店員さんに近づくと、店員さんがピザの入ったビニール袋を渡した。
なるほど、なるほど。こういうシステムなのか。
一人の店員さんが、受付表みたいなものを持って受け渡しの交通整理をしていたので、妻はその人に何事か話しかけた。その店員さんは、受付表みたいなものに、何かを書き込んだ。あとは名前を呼ばれるのを待っていればいいわけか。これなら私でも受け取りはできそうだ。
「ぼくが待っとるから、あんたは車の助手席で待っとり」
念のため厚着をしてきたので、店の外で立って待っても、少しも寒くはない。
店員さんたちが、店のカウンターの奥で忙しく立ち働いている。釜から取り出した大きなピザを両手持ちの包丁でざくざく切り込んでいく手際のよさよ。今日と明日は戦争状態だろう。ごくろうさま。
並んでいる人たちの表情は、とげとげしくはない。サンタクロースをイメージさせる衣装を着た若い女性が何人か並んでいる。楽しそうに仲間と話をしている。
年の瀬の夜だが、気温も低くないし、風もない。降ったりやんだりしていた雨も、このときはぴたりと止まっていた。「お持ち帰り半額」という掲示が心を温めてくれる。
やがて名前が呼ばれ、私は、ピザとチキンとポテトとナゲットとコーラを受け取り、トランクに詰め込むと、車を出発させた。
どうしてクリスマスにはピザを食べるのかを、私は知らない。
知らないが、クリスマスイブに食べるピザはおいしかった。
一年に一度のこんな特別な夜には、誰もが少しだけ優しい気持ちになる。
メリー・クリスマス。
(2025年12月25日執筆)




