お中元の冷やし麺(本編)(2014年7月10日)
着いた、開けた、食べた。
ひと言所感を述べるとするなら、意表を突かれた。
このお中元の正式名称は、「焼鮎と夏野菜の冷やしめん」。
パッケージを開けると、保冷剤とパック入りのだしのほかに、白い包みが入っていた。
鯛の塩竃焼きでも入っているのではないか、と思わせる包みだ。
それを開けるところは見なかったのだが、麺と具が入っていたようだ。
そうめんだった。
食べたときには冷や麦かと思った。
冷や麦と呼ばれないぎりぎりの太さのそうめんなのだろう。
焼鮎なのだが、ひどくこじんまりしていて、食べるまでは鮎と分からないほどだ。
しかも焼き方が浅い。
たぶん焦げ目を付けてしまうと麺に嫌みが出るからだと思う。
しかし火はちゃんと通っていて、「ああ、確かに鮎だ」と感じる野趣がある。
野菜は、ミョウガを縦四つに割ったもの、たたいてひねったキュウリ、薄く切った山芋、それからわずかにセリ?だったかが入っていたように思う。
スープは薄味である。
面白いと思ったのはスープの煮こごりだ。
具と一緒に入っていたらしいが、これが実によいアクセントになっている。
なるほど京都だ、と思わせてくれる一品だった。
ただ、私の野蛮な趣味からいうと、ちょっと物足りない。
しかしこれを真夏の日中に、少し涼しい場所で、よく冷やした状態で食したら、とてもとても風雅な夏を味わえるだろう。
ちなみに製造者は、紫野和久傳、という。
(2014年7月10日執筆)




