採れたてのさつまいも(2012年4月12日)
とれたての野菜は、うまい。
それは、常識である。
だが、必ずしも正しくない。
収穫するのにふさわしい時期や時間帯というものもあるし、収穫してからの保管その他の問題もある。
あれは何年前だったか。
私は、庭を掘り返して、畑を作った。
といっても、溝に沿って十メートルほどの長さを持つ、ただ一畝の畑である。
そこに、さつまいもを植えた。
タネではない。
茎、というのだろうか。
ホームセンターで買ってきて、植えた。
茎はすくすくと伸びた。
びっくりするほど、よく成長した。
その下には、根が伸びているはずだ。
その根の先には、そこここに芋が成っているはずだ。
秋になり、少し掘って、確かめてみた。
うむ!
確かに出来ている。
さつまいもだ。
秋も深まったある日、私は近所のこどもたちを呼び集めた。
そしてみんなで芋を掘った。
何十個あったか。
たくさん採れた。
大きい芋を採った男の子は手柄を自慢し、小さなかわいい芋を採った女の子は、さっそく名前を付けて可愛がっていた。
みんなで分けた。
こどもの母親たちもやってきて、その様子を見ていた。
お礼をいわれて、うれしかった。
わが家にも何個かの芋が残った。
まずは、味噌汁に入れた。
さつまいもを入れた味噌汁は、甘くておいしい。
はずだったが、思ったほど甘くなかった。
かすかな青臭さを感じた。
あとで知った。
さつまいもは、収穫してからしばらく陰干ししておかないと、甘さが出ないのだ。
最初に天日干して水分を抜くとなおよいという説もあるらしい。
それでも、自分で育て上げて収穫した芋には、何ともいえない味わいがあった。
(2012年4月12日執筆)