鉄板チャーハン(2013年1月6日)
今では珍しくもない品だが、当時は目新しかったのである。
今日は遠方に日帰り出張だった。
午後3時過ぎに国道2号線沿いのドライブインで昼食を取った。
肉入りチャンポンメンと鉄板チャーハンを食べた。
鉄板チャーハンは新製品だという。
私は新製品に弱いのだ。
280円だった。
熱々の鉄板の上に、チャーハンが半球型に盛りつけられている。
以前中華料理屋でアルバイトをしていたことがあるので、あの半球型がどうやって作られるかは知っている。
なぜチャーハンを熱々の鉄板の上に盛りつけるのか、理由はお分かりだろうか。
そのチャーハンの周りには溶き卵がふわりと流し込まれているのである。
「よくかき混ぜてからお召し上がりください」
と、ひどく若いホール係の女性が言った。
かき混ぜるとも!
しっかりかき混ぜたほうがおいしいはずだ。
見る間に固まっていく卵を手早くかき混ぜつつ、チャーハンに混ぜ込んでいく。
なかなか楽しい。
石焼きビビンバのわくわく感に通じるものがある。
チャーハン自体は何の変哲もない味付けだったが、とても楽しくおいしく食べた。
書き忘れたが、当然生ビールも注文していた。
私がチャーハンを作るときは、マダム・チャンの本から学んだ方法を実践している。
つまり、油を熱してネギやショウガで風味を付け、まず肉と野菜を炒める。
それをいったん取り置いて、中華鍋を奇麗に洗ってから、油に風味をつけて、卵を炒める。
それからご飯を入れて混ぜ、じゅうぶん水気を飛ばしてからスープで味を付け、取り置いておいた具をいれて混ぜるのだ。
卵というのは、よく油を吸う。
油を吸う食材といえば、まず卵とナスを思い浮かべるほどだ。
だが卵はアクや汚れもよく吸う。
卵はいったんピュアな状態で火を通し、それから他の食材と混ぜ合わせるのが、卵と他の具材をうまく働き合わせるこつなのではないかと思っている。
風ひとつない穏やかな天気のなか、山々に降り注ぐ陽光が赤味を増していくのをながめながら、帰りの車の中でうとうととまどろんだ。
運転しなくていいドライブは最高だなと思いながら。
(2013年1月6日執筆)




