ひろめ市場「やいろ亭」(前編)(2012年11月13日)
今朝、朝食をとりながらテレビを観ていた。
豚しゃぶには赤ワインと白ワインのどちらが合うか、またカツオのたたきにはどうか、というクイズが出た。
いい問題だなあ、と思った。
常識的にというか、普通のセオリーどおりにいけば、豚しゃぶには白ワイン、カツオのたたきには赤ワインということになるだろう。
だがしかし、味にこくのある引き締まった豚を強いタレで味わうときには、赤ワインのほうが味を引き立てることがある。
味噌だれや胡麻だれであれば、それなりにボディーのしっかりした赤ワインを合わせてみたい気になる。
以前、豆乳の豚しゃぶに赤ワインを合わせてみたことがあるが、よく合った。
赤ワインはポタージュスープやクリームシチューとも相性がよかったりするし、食材もさることながら、だしやソースとの相性が重要なのだろう。
カツオのたたきには赤ワインのほうが無難だが、カツオのたたきというのは、味の強い部分とともに繊細な味の部分を持っている。
その繊細な味の部分の微妙な変化を、赤ワインが殺してしまうことがあるような気がする。
鮮度の高い、あっさり焼きのたたきなら、よく冷やしたシャブリが合うかもしれない。
というか、カツオのたたきに無理にワインを合わせる必要もない。
どうしてもワイン系でというなら、むしろドライシェリーを試してみたい。
シャンパンは合う。
これはやったことがある。
ランソンが見事にフィットした。
しかしもともとシャンパンは相手を選ばない魔法の酒だ。
他の料理との相性を考えず、ただカツオのたたきとの組み合わせでいうなら、最初の一口はビール、そのあとは日本酒の辛口か焼酎がよいと私は思う。
というか、そうしている。
特に焼酎ならショウガやニンニクをたっぷり乗せたたたきにも負けないから、たれや薬味に気を遣う必要がない。
はっ、そうか。
「どちらのワインも合いません」
というのが正解なのか?
ふ、深い。
まあ、いずれにしても、ワインと料理の関係の妙味を突くよい出題だ。
などと思っていたら、番組の中での正解は、
「魚には白ワイン、肉には赤ワインといいますが、この場合は豚しゃぶに白ワイン、カツオのたたきに赤ワインという組み合わせがいいのです。料理の色とワインの色を合わせるという考え方を覚えてください」
というものだった。
ちょっと待て。
なるほど、超初心者向けのセオリーではある。
文句の付けようもない。
しかし、その答えを導くには、この料理チョイスはあまりに思わせぶりすぎるだろう。(後編に続く)
(2012年11月13日執筆)




