「吉次(よしじ)」心斎橋店(後編)(2012年10月24日)
さて、前編の続きである。
続きであるのだが、困ったことに内容を忘れた。
いや、紹介したかった品は覚えている。
テールの焼き物なのである。
ところが、前編から時間が空きすぎたため、書こうと思っていた内容も、料理の正しい名前さえも記憶の淵からこぼれ落ちてしまった。
いつでも書けるという考えの甘さを痛感している。
しかも、このテール焼きについての話は、辺境の老騎士第4章(※ウェブ版)で使うつもりだったのに。
ということは、もう一度食べに行かなくてはならない。
まあとにかくおいしかった。
スライスされて、いかにも牛の尻尾だと分かるその肉片は、じゅうじゅうと音を立てて食欲をそそる。
パンチの効いた塩こしょうがまた憎い。
やや硬い肉なのだが、かみしめるほどに味が出る。
しかもその味は、いわゆる肉のうまみとは違うのだ。
なにしろテールというのはスープの最強素材の一つである。
にじみ出てくるうまみは、まさにうまみそのもの。
はっきり言ってこの一皿だけで、一食のおかずとなる。
酒のあてとしても上級騎士級の実力を持っているといえる。
テールというのは、焼く前は赤っぽい色をしているのに、焼くと白っぽい色になる。
この焼き色の変化は牛肉より豚肉を思わせるものがある。
赤肉、白肉という言い方がある。
あまり一般的な用語ではないと思うが、前者はサーロインやフィレを始めとする赤身肉を指し、後者は内臓肉などを指す。
ただし、ハラミは横隔膜であり内臓肉に入るが、この分類では赤か白か微妙だ。
テールというのは白肉なのかも、とふと思った。
それにしても、テールスープというのは不思議だ。
誰があんなものでスープを作ろうと考えたのだろうか。
勘の良い料理人は、食材を見ただけで味の見当がつく、という話を聞いたことがある。
生でかじれば焼いたときの味をほぼ想像できると言ったムッシュー(コックさんのこと)もいた。
いろんな食材をかじって歩いた料理人たちがいたのだろうか。
牛のいろんな部分を生でかじってみる料理人がいたら怖い。
牛も黙ってかじられてはいないだろう。
となると、牛の反撃などものともせずにかじり続けられるだけの戦闘力を持っていなければならない。
無双の剣豪で食材を探して大陸を放浪する料理人騎士。
彼は目に映るものすべての味を想像する。
木も草も水も動物も魚も、ありとあらゆるものが彼にとっては食材候補だ。
彼が味を想像しないものは存在しない。
土も岩も虫も。
むろん、男や女も。
彼はあらゆるものをかじる。
そして時にインスピレーションを得て、それを料理してみる。
今日も川龍を倒しては、「脇を少しかじらせろ」とひと言。
こうして今日も世界に食材が一つ増える。
というようなキャラを老騎士に登場させたら、どうだろう。
世界観が保てないかもしれない。
すでにタイトルと何の関係もない話になってきた。
今日はやらなくてはならないことが山のようにある。
ここらで筆を置いて、この稿を閉じておく。
(2012年10月24日執筆)




