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トンネル

作者: 泉末広

なんの不満もある訳ない。

今は生まれながらの契約に抵抗している訳じゃない。

必要なのは理解してるけど、編み目のような雨が執拗なノックをするような、秘め事を追いたてるような意地悪をする。

音階が変化する雨音が耳の中で渦巻いて、言ってはいけない秘密を口元まで巻き上げる。

最も身近なトンネルでも、隠れ家にはなるらしい。

口を塞いだら、耳を塞げない。

耳を塞いだら、あの日を思い浮かべて厭らしい口元が現れる。

珍しく懐かしさを覗き込んで調べてみよう、恥ずかしい香りが残ってないか。

覚えたての吹奏楽、息を吸って吸って奏でよう。

使い古した命の廃棄物は、萎んでいくトンネルを抜けたら、音程の変化する落下音をたてて出発を知らせてくれるみたい。

塞いでいた扉を開けて。

すこし痺れた足を伸ばしたら、息を吸って吸って奏でよう。

音量を無視した慟哭を。

雨音に紛れ込ませるのは、過ちを洗い流す涙の訳。

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