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第一話 【過去の記憶Ⅰ】「妹のおパンツとブラジャー」

『___建物が倒れてくる恐れがあるので、外にいる方は早めに近くの頑丈そうな建物に避難してください』

 

 中三の夏休みも終わり秋らしい涼しさが肌をくすぐり始めたある日、今年最大と言っていいであろう巨大な台風が、この辺を直撃するとは知っていたものの、朝は少し雨が降っていた程度なので、今日も変わらず咲菜がうちに来ている。

 とんだゲームバカだ、俺たちは。


 だが今は午後六時を回ったところ。

 いつもなら、大体この辺で咲菜が『そろそろ暗くなってきたし、私帰るねー』と言って帰るのだが、今日は状況が違う。

 夕立程度ならすぐ止んで、暗くなったとしても咲菜の家まで送っていけば問題なしなのだが、台風はそう簡単にはいかない。


 とりあえず一区切りついたのでヘッドホンを外し、窓越しの空を見る。


「ゴォォォォーーーー」


 ヘッドホンを外してから耳に飛び込んできた風の音といい、外では『雨』と『地面』の物凄いバトルが繰り広げられている。

 現在はやや『地面』が押され気味だが、ここからもっと頑張ってほしい。

 そんなどうでもいいことをボーーーーーッと外を眺めながら考えていた時だった。


「外、すごいね。どうやって帰ろうかな」


 隣で一緒にゲームをしていた咲菜がそう呟いた。

 俺もその声とともに我に返り、すぐ彼女の方を向くと、苦笑いで少し困ったような顔をしていた。


「とりあえず、親に連絡してみたらいいんじゃないか?」


「二人ともどこか泊りに行っちゃったんだよね……」


「俺んちも今日誰もいないんだよn………」


 そこでふと止まる。

 これってもしや……お泊りイベント……?

 

「いやいやいやいや!」


 それはまずいって。

 これで先生にばれたらシャレにならない、今年は受験生で、内申点が下がるのはもちろん、クラスの奴からは今後どんな目で見られるか考えただけで鳥肌が………。


「いやいやいやいや!」


 って、なに俺泊まる前提で話進めてるんだ!?

 隣で謎な行動をしている俺の姿を見て、咲菜が不思議そうな顔をこちらに向けている。

 今ので少し怪しまれてしまった……。


 だが……実際問題、解決策が見つからない………。

 どうしようどうしようどうしようどうし___


「ゆうくん……あのさ…………ゆうくんがいいなら…………………泊まっていってもいいかな……?」


 俺は目を瞑り、脳内で解決策を弄っていた時…………それは…………一筋の光というべきか…………まさに台風が消え去ってしまったのではないかと錯覚する程の………強烈な彼女の発言に……硬直する。


「やっぱ……だめだよね………。私たち異性だし……」


 なんとか苦笑いで言い切った咲菜だったが、言い終わった後は、どこか、うつろな瞳をしていた。

 

「だけど、正直これしか方法ないんだよな。咲菜、お前今日家に誰もいないって言ったよな?」


 念のためもう一度確認しとく……………って、咲菜のうちに誰もいないからこんな状況になったのか。


「うん……」


「じゃあ、泊まってけよ。服とかも妹の……………って、誰もいないとは言ったけど、妹がいるんだった」


 一度『泊まってけよ』って言ったときにはパッと明るい顔を取り戻したけど、この家に俺以外の存在がいることを知った彼女は、再び下を向き、悲しげな顔をしていた。


「いやいやいや!まだ泊めれないなんか一言も言ってないぞ!?妹にうまく下着とパジャマを借りてくればいいだけだよ!」


 咲菜の悲しんだ顔を見たくない。だから俺は、こうしてでも咲菜に笑っていてほしかった。


「でも……なんて言って……ひなさんに借りるの………?」


 そこまで考えてなかった!えーーと、例えば…………………『なあ妹よ、俺のため、いや、愛する人のために下着とパジャマを借してはくれないか?』


「いやいやいやいや!」


 馬鹿か俺は!よりにもよって何でこんな時にこんな考えが思い浮かぶんだ!おかしいだろ!

 

「あ……あの」


「はっ!はい!?」


「はっ!はい!?」


 変なことを考えていた俺に、急に咲菜の声が降りかかってきたので、変な上ずった声が出てしまった。

 そして、俺の驚いた声に咲菜も驚く。

 咲菜のこういう所が可愛いよな~。オーバーリアクションっていうか、たまにホラゲやる時とかもそうだし。


「で、どーやって借りるの?」


「さっきの発言に少し語弊があった……」


 数秒置いて___


「妹から直接交渉して借りるのじゃなくて、バレずに部屋に忍び込んで盗めばいいんだよ!」


 今この場だけを聞いた奴がいれば俺はただの変態野郎だが、幸い咲菜以外ここにはいな___


「私が何ですって………?」


 


























いやがった………。




 




 





 



 





 


 

どうもロリコン勇者です!

今回は、ストーリーを進める前に、優君にとって絶対に忘れられない思い出の一つ、咲菜が優君の家に泊まるお話です。

この、咲菜が優君の家に泊まる思い出には、今後ストーリーを進めていくのに重要な『カギ』があります。(その『カギ』とは咲菜と優君が寝る時なので、それまでは気軽に読んでくださいね~)

ということなので、もう何話かはこんな感じで咲菜が優君の家に泊まった時の出来事などを書いていきます。

それでは次のお話で。


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