プロローグ 「死んでしまっても」
七月十六日。
「なんでだなんでだなんでだなんでだーーーーー」
朝、自室にて近所迷惑極まりない声で叫んでいる俺がいた。
「これは……どういうことなんだ……」
何度もスマホに表示されている文字を見返す。
どんな顔をしているかなんて想像もつかない物凄い顔をしているに違いない。
そして、見返すごとにこれが現実なのかと脳が理解する。
理解し難いことを理解する……。
なぜ俺がこんなに朝っぱらから叫んでいるかというと、昨夜、俺は意を決して好きな子に告白をした。
それも、その子の誕生日にだ。
文もいたってシンプルに______
『誕生日おめでとう!なんやかんやでもう十六歳だね!それで、急だと思うけど俺、実は中学の頃から咲菜のことが好きだったんだ。だから、俺と付き合ってください!』
もはやテンプレと化したこのセリフを無料通話アプリLIMEに送って朝起きるとどうなっていたと思う?
既読無視
最悪すぎるだろ……ほんとに……
いやだって、葵 咲菜とは中学二年からの付き合いで、お互いゲームが好きという共通趣味をお互いが知って、そこからは毎日のように俺の家に咲菜が遊びに来てはゲームをし、俺が勝っては「もう一回だけ」と懇願する咲菜の表情を楽しみながら、最後には手加減をして勝たせてあげるという感じで一緒にゲームをしてきた。
一緒にゲームをしていくうちに、咲菜が俺に勝とうとする負けず嫌いな性格とか、家に家族の誰もいないときとかには「今日誰もいないんだよね?私の手料理でよければ作るよ?」と言って料理を作ってくれたりする面倒見の良さだとか、だんだん咲菜のこと知っていくうちに惚れてしまったのだ。
容姿もなかなかなもので、天然白髪で、前髪は眉毛の辺りで切りそろえられていて、後ろは肩に触れるくらいで下ろしている。顔は小さめでその分目が大きく見えて可愛らしい。身長も151センチとやや低めであるが、その小さい顔と合っていて可愛い。
先程の性格の面もそうだが、これも咲菜に惚れた理由でもある。
そして、それが中学三年の春あたりに芽生えた感情だったか……。
高校二年になってようやく想いを伝えることが出来たって言うのに……。
咲菜もちょくちょく俺を意識する態度も見せてきたが、それは違ったってことか?
いや、だがまだ諦めるとこではない。
返信しようとしたら、充電が切れて充電器も学校に忘れてしまったとか…………。
そんな考えで自分を安心させようと試みたが『なぜ既読無視をしたんだ……』という言葉が頭の中で無限ループし不安は募るばかり。
だからといってここで立ち止まっても仕方がない。
今日は水曜日。学生にしろ、社員にしろ一番ダルい曜日と言っても過言ではない曜日だからこそ、ここで気合を入れて学校に行かなければならない。
階段を下りて洗面所に向かうと、そこには歯を磨いてる妹がいた。
鳴海 ひな(なるみ ひな)/十四歳/中学二年生。
髪の毛は濃い紺色で洗面所の電気の光を反射するくらいきれいに整っていて、長さはセミロング、目は小学生後半くらいの少し幼くかわいらしい目で、身長は149センチと平均身長の少し低いくらいで、性格は一言で言うなら真面目、もう一言足すとなれば、面倒見がいい。
だが、たまにめんどくさい時がある。
ちなみに、成績は学年トップで、英検、漢検、数検をそれぞれ3級という実績を残している。
「あ、おにいちゃんおはよ~」
「うっす」
「あーーー、なにその返事~、まともに朝の挨拶もできないんですか~」
俺が適当に返事をするや否や、歯を磨いていた手をいったん止めて、こちらを向き煽り口調で俺のした挨拶を指摘した。
「はいはい、俺は朝の挨拶もまともにできない小学生以下の脳みそをもっている男ですよ~」
「なによそれ、だからおにいちゃんはモテないんだよ~~だ」
歯を磨き終わって、口を漱ぎ、再度俺の方を向いてそんな言葉を残し、プイっと学校のスカートをひらつかせ、洗面所から出て行ってしまった。
なにが『モテないんだよ~~だ』だよ。
「そんなこと、俺が一番分かってるっての」
洗面所の鏡で自分の顔を見ながら、独りそんなことを呟いていた。
「ごちそうさまでした」
朝食を済ませ、食器を片付けた俺は、一旦自分の部屋に戻る。
起きたまんまのクシャクシャなベッドの上のスマホを取り、先程と何ら変わらないであろう咲菜との会話を再び確認する。
「はぁ……なんでなんかな~」
起きた時に確認した時と変わらず、俺が送ったメッセージの左側に『既読』という文字がこびりついたまんま、咲菜からは無反応だ……。
「まあ、理由とかは後々学校とかで聞けばいいか」
いっそ開き直って明るい未来のことを考えて生きてこうではないか。
そして、部屋にある時計を見てまだ時間に余裕があることを確認する。
「家を出るのにもまだ時間に余裕もあるけど、今日はゆっくり登校するとしますか」
そうと決まれば制服に着替え、荷物をまとめて自分の部屋を後にする。
とりあえず準備も済ませたので、カバンを持ちこの家を後にしようと階段を降り、玄関のドアの三メートルほど手前まで来たところで、とあるニュースが俺の耳に入り込んだ。
『___今日午前五時頃、自宅にて首を吊っていたと、親族の方から119番に連絡が入ったと___』
ニュースの野太いおじさんの声を聞きながら、テレビに映されている自宅前の中継には見覚えがあった……。
「って……」
そこは…………………
咲菜の家だった……………………。
どうもロリコン勇者です。
なんとな~~く書いた作品なので、なんとな~~く読んで、なんとな~~くブックマーク追加して、なんとな~~くポイント評価して、なんとな~~く感想を書いて下さい。
追記:上記の通りなんとな~~く書いた作品なので、設定とかラストとか決めておらず、これからどうなっていくか私自身も分かりませんが、最後まで応援してくださると幸いです。