表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
奇妙な留置人  作者: 伊藤むねお
6/21

証拠品

「室内は荒らされていましたか」

「いえ。まだ精査はしてませんが、一見したところではそうはみえません」

 はあ、と弁護士は溜息をついた。

「もうおわかりのご様子ですが、猪俣さんは亡くなった代議士の愛人でした。そして今健一氏がいいましたとおり、今のわれわれにとっては極めて重要な物品を今日の午後5時に、ここで健一氏に直接渡していただく約束だったのです」

「その約束をされたのはいつですか」

「4月8日の昼頃です」

「そのとき猪俣さんはどちらに」

「実家の群馬の片品村だったそうです」

 ――・・・ははあ、ピッキングの跡はそれか。

「それで、どういう品物なのでしょうか。物によってはわたしがこの場でお答え出来ますが」

「それが」

 弁護士は心配そうに2階の青いシートを見上げた。

「物品は、現在係争中の事件の有力な証拠品となる可能性のあるものですので」

「現物を確認するまではいえないと。なるほど。それじゃですね、あなたたちは猪俣さんの弟さんをご存じですか」

 弁護士は後ろをふり返って飛島に聞いた。

「知ってます。2度ほど会ってますから」

 大きな声で飛島が答えた。

「わかりました。では、今は入口から中を見るのだけ許可します。室内は弟さんがこちらに来られたらということでどうでしょう」

「わかりました」

 弁護士は飛島のところにもどった。


 署が用意したテレビ週刊誌を男はめくっていたが、ほどなく、「この男だよ」と指を立てた。ハングリ・アングリというお笑いコンビのひとりだった。横から覗き込んでいた似顔描きの訓練を受けた若い婦警がすぐにペンを取った。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ