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奇妙な留置人  作者: 伊藤むねお
13/21

自称立花はシロ

 ふたりが着席すると立花がいった。

「自称立花はシロでいいのか」

 隣にいた畑中が立ち上がり捜査員たちに顔を向けたままで答えた。室内にいる多くの刑事にも聞かせなければならない。

「目下のところは犯行を疑う理由がありません。マエもありません。拾った財布が届けられていたこと。およびカードでの200万円の引き落としされた時刻に、われわれと一緒にいたことです」

「共犯のセンは。つまりカードケースは仲間に渡し、自分はカモフラージュとして害者の介抱をしてみせた」

「しかし隣室の住田陽子に119並びに110番を急がせたこと、これは仲間が預金を下ろすための時間稼ぎに矛盾します。また斎木が報告しましたが、包丁の柄は一度拭きとった上に彼の指紋があったことなどもそれを否定すると考えます」

 飛島健一が受け取るはずだった物品を所持してないことには触れなかった。

「身体検査、指紋提供には応じたのか」

「はい。所持品は3000円と小銭、半分使ったティッシュパックだけでした」

 畑中は首を捻り斜め下の立花を見ながら答えた。声はやや小さくなる。

「まだ、いるの?」

「ええ、オリに泊まってもらってます」

「オリに? 大丈夫か。どこかの県警であったように人権弁護士がいきなり飛び込んでくるということはないだろうな」

「その点には十分に配慮してます」

「そうか。ふむ・・・写真は」

「それは止めてくれといわれてます」

「そう。はい、わかりました」

 立花が軽く頭を下げ分厚い唇を結んだ。実は畑中は鑑識員に頼んでこっそり撮ってもらっていたのだが、それはここでいうことではない。立花も畑中のことだから実はやっていると見たのだろう。

「それでは班ごとの役割分担を発表する」

 畑中がそういって着席すると、坂崎がリストを手にして立ち上がった。



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