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13.ボロボロですがなんとかなりました。

 二日目の第一試合は武国代表のリーナとの試合からだった。

 彼女の試合でのスタイルは相手に魔法をたくさん撃たせ、魔力がなくなった所で武力で制圧する。

 なので彼女自身からは仕掛けてこない。

 レイとしては相手から攻撃されてそれを対処する方が得意なのだが今回はその手は使えない。

 こっちから積極的に攻撃しないと彼女には勝てないのだ。

 さて、どうしょうかしら。

 えげつなーい手段ならあるけど使っていいもの?


「さあ、どうしたの。怖気づいたのかしら、オ・バ・サ・ン?」

 レイが悩んでいると若さを強調したリーナが挑発するためにニヤニヤ笑いながら指を立てた。


 オバサン!

 今、オバサンとか言わなかった。

 ふーん。

 そうよね。

 私はオバサンなんだもの。

 別にえげつなーい手で勝っても勝ちは勝ちよね!


 レイは決意すると魔法書から複数枚の”氷”と”竜巻”と書かれた紙を引き抜いた。

 すぐに引き抜いた紙に魔力を注ぎ込むと鋭い氷の粒と竜巻を混ぜ合わせてそれを対戦相手であるレーナにぶつけた。

 レーナがこちらを侮っていたおかげか反応が悪く、すぐにその竜巻に飲み込まれた。

 飲み込まれた瞬間に轟音が轟き、その合間に細い悲鳴が試合会場に聞こえた。


 数十分後、徐に氷を混じり合わせた竜巻が消えた後にはそこら中を鋭い氷によって引き裂かれ血まみれでボロぞうきんのようになった対戦相手が地面に横たわっていた。


 会場がシーンと静まり返る中、魔法障壁が消えた場に兵士が現れてレイの勝利を厳かに告げた。

 レイは慌てて駆けつけた救護班の脇を通り抜け、今回は観客席ではなく選手控え室に向かった。


 二日目の第二試合は元魔国の王族vs武国代表のリーナとの試合からだったが彼女が戦闘不能の為カタリーナが不戦勝となり、すぐに第三試合になった。


 二日目の第三試合は元魔国のドワーフ宰相とレイとの試合だ。

 相手の宰相ドワーフからレイが連戦となる為休憩時間を設けましょうかと提案があったが別にそれほど魔力も使っていないのでレイはその申し出を断ってそのまま試合に臨んだ。


 すぐに試合会場の中央に二人が進んで試合が開始された。

 宰相ドワーフはこれまでの試合と違い、最初から全力でぶつかってきた。

 魔法の力も物凄く少しでも力を抜くとこっちがやられそうだ。

 レイは向こうの魔法がどの属性でも対応出来るように常に魔法書から全属性の紙を持って戦いに挑んだ。

 その激しい魔法合戦で交錯する魔術に観客たちが酔いしれた。

 さすが魔法学校の校長じゃなかった元魔国の宰相ドワーフ。

 凄い魔法の知識力と繰り出される魔法の種類の多さにレイの方は対抗するだけでせーいっぱいだ。

 まだまだ魔力はあるがこれ以上長引くと精神力の方が危ない。

 息切れがして眩暈もしてきた。

 レイは最後に全属性の紙を魔法書から抜き取るとそれを前面に浮かせてからそのすべてに魔力を乗せる。そして、風の魔法で竜巻を数十個発生させた。次にその竜巻一つ一つに火・土・水・雷を纏わせていっせいにドワーフ宰相に向け放った。

 その攻撃にドワーフ宰相の目が見開かれ、それらすべてに彼は正反対の魔法をぶつけてきたがさすがの宰相でも全ての竜巻を消し去ることは出来なかった。

 試合上には雷と水で作った竜巻がわずかに残った。

 レイはそれら二つに再度魔法を加えてドワーフ宰相に向けそれを放つ。

 ドワーフ宰相は最後の魔力で対抗してきたが最後は抗しきれずにその魔法を受け、地面に倒れ込んだ。


「勝者レイ!」

 魔法障壁が消えた場に現れた兵士がレイの勝利を宣言した。


 レイはここまで全勝、残り一人を倒せば優勝確定だ。

 最後の一人は元魔国のカタリーナだ。

 ある意味元魔国の直系王族同士の対戦だ。


 レイは三連戦だがそのまま出場するしかない。

 魔法書も先程の宰相ドワーフとの戦いでほとんど使いきり残り数枚だ。

 後は自分の魔力で対抗するしかない。


 レイはほくそ笑むカテリーナの前にボロボロになりながらも試合会場の中央に進んだ。

 二人が中央に立つと魔法障壁が発動して試合が始まった。


「あらあら、お疲れの用ね。早く休ませてあげるわ。」

 彼女はそういうと雷魔法を連発して突進して来た。

 レイは土魔法で防御するが連続して放たれる魔法のお蔭で他の魔法を発動するタイミングが上手く掴めない。

 とは言え残りの魔法書の中に竜巻や風魔法は使い切ってもうなかった。


 後は光と氷のみ。

 魔力の残りを見ても無駄撃ちは出来ない。


 レイは土魔法で防御しながらその内側で氷魔法を駆使して前世のレンズを作った。

 上手くいって頂戴。


 レイは光魔法を集約してレンズに当てると身体強化魔法を発動して横に飛び退りながらカタリーナの前面で防御していた土魔法を解除した。


 雷の魔法がレイが立っていた周囲に降り注ぎ逆に彼女が放ったレンズ越しの光魔法がカタリーナを襲った。


 ウギャーギエェー・・・。


 凄まじい悲鳴と共に黒焦げになったカタリーナがプスプスと煙を立てながら地面に倒れ伏した。


「勝者レイ!」

 魔法障壁が消えた場に現れた兵士がレイの勝利を宣言した。


 ズタボロになりながらもなんとかレイは優勝を勝ち取った。

 よし、これで腕輪を外せる。


 この試合で始めてレイは観客から盛大な拍手を貰った。

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