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最終回

 


私は、夏樹の手をギュッと握って震える唇で聞いてみた。



「…私がいて、夏樹は嫌じゃない?」



震える声、だけど夏樹にはちゃんと聞こえるように言った。



「っ嫌な訳、ねぇだろ」



夏樹はそういうと、私の手の上に優しく暖かい手をおく。


私は嬉しくて、握っている手をまたギュッと握った。



「……ありがとう、私も夏樹のこと大好きだよ」



やっと言えた……私の本当の気持ち。


きっと耳まで真っ赤になってるだろうなぁ。


でも今は、この時間を一秒でも大切にしたいから………夏樹もそう思ってくれると嬉しいな。



「…カズハ、今日は一緒に帰ろうな」


「うん」



私は素直に頷いた。


その日、私は一緒に夏樹の家に行った。


出迎えてくれたおばさんが、涙目になって私に抱きついた。


私も久し振りだったから、笑っておばさんを抱きしめた……後ろにいた夏樹の視線がちょっと痛い気がしたけど。


それでも私はおばさんに抱きついていた。


おばさんが、今日は家で夕飯を食べていってほしいと言うので私は遠慮なくそうさせてもらった。


久し振りの夏樹の家、夏樹が事故にあってから一切来なかったから……本当に懐かしく思う。



「カズハちゃん、今日はありがとうね」


「…っえ?」



夕飯を食べ終えた時、急におばさんがそんなことを言ってきた。



「夏樹がね?今日は絶対に連れてくる!って朝家を出る時に言ってね、だから本当に来てくれておばさん嬉しいの」



おばさんは可愛らしく頬を染めて笑っていた。


隣をみると夏樹が呆れたように「あんまペラペラ喋んないよな」という顔でおばさんを睨んでいた。


私は、それがあまりにも嬉しくて二人をみて笑った。


また夏樹の側で居られる。


それだけで幸せ者だなと思ってしまう程に。










そして、次の日──…


「カズハ、早くしろよ遅刻するぞ!!」


「ま、待って!今行くから!!」



私達は、事故にあう前の日常に戻った。


……一部を除いて。



「お母さん、行ってきます!」



私はそう言って家を出る



「お待たせ、夏樹!」


「たくっ、お前は本当に鈍くさいよな~」


「なっ、じゃあ置いてけばいいじゃん!!」



私はつい、いつもの癖で意地をはってしまって後から後悔するが──…。



「…バカ、彼女を置いて行ける訳ねぇだろ?」



夏樹は照れながらそう言ってくれた。


私は嬉しくて、夏樹の腕に飛びついた。


一瞬驚いた夏樹だけど、振り解こうとはしなかった。



「ねぇ夏樹」


「…ん?」


「今日の空、なんだかいつもより綺麗だね」


「そうか?いつもどうり青い空だと思うけど」



いつもどうりの空、だけど私には今日が一番綺麗な空に見える。


きっと隣に夏樹がいるからかな?


なんて、夏樹には言わないけど






今日もこれからも。


隣の人と見える空ならどんな空でも。


綺麗な空だと思うから。


私は今、この青々とした。


大空の下で夏樹と歩ける事が。


一番の幸せです。






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