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夏樹だ……ずっと会いたかった夏樹の顔だ。


今すぐにでもその胸に飛び込んで抱きつきたいくらい大好きな人が目の前にいる。


だけど私は、一瞬夏樹に手を伸ばしかけて気づいた。


夏樹の側にはもう、いられない事……



「…カズハ、なんで見舞いに来なくなったんだよ?学校で俺を避けるし」


「…それはっ」



やめて、そんな顔しないでよ……そんな悲しそうな顔で私をみないで。


せっかく諦めようとしたのに…そんなに必死で私を見つけないでよ…。


でももう、これは決めた事だから。



「っ私はもう夏樹とはいたくないの、だからもう話かけないで」



目を逸らしてやっと言えた言葉、言った自分でも心が痛くなる。


…だけど、もう夏樹をあんな目にはあわせたくない。



「……っ馬鹿!!なんでお前が傷ついてんだよ」



するといきなり顔を覗き込まれて、夏樹は驚いたような傷付いたようにそう言うと、強く抱きしめてきた。


私は抵抗するが、夏樹の力が強くて歯が立たない。



「離して」


「…怪我をしたのは俺なんだ、だから──…」


「だから何!?気にするなって?気にするよ!気にするし、傷つくよ……」



そう叫んでいると、自然と涙が溢れてきた。


だって、夏樹は私の為に怪我したんだよ?それなのに気にするなって……どんだけお人好しなのよ…。



「……ゴメン」



いきなりの言葉に驚いて、夏樹の顔をみると真剣な顔そのものだった。


私は何も言えず、ただ夏樹の顔を見ることしか出来なかった。



「俺、あん時何も考えてなかったんだ…でもその後に気づいたんだよ」



夏樹はそう言って、口の端を上げて吹き出すように笑った。 



「俺がお前の事メチャクチャ好きだって」








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