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四
私は、次の日から夏樹の見舞いには一度も行かなかった。
夏樹のおばさんがそれに気づき、心配するが部活とバイトがたまたま重なって行く時間が取れない、と私は嘘をついた。
そして、4月の終わり。
夏樹が退院したとおばさんがお母さんに伝えに来たらしい。
「…カズハ、夏樹君のおばさんが心配してたわよ?夏樹君も寂しそうにしてるって」
「………ゴメン」
私は、その一言しか言葉が見つからなかった。
それから、5月に入ってすぐのことだった。
無事夏樹が学校に来れるようになった。
私にとって、それはとても嬉しいことだった……その反面、私を探す夏樹から逃げるのに苦労するが仕方ないことだと思った。
「…お願いだから探さないでよ」
そう言葉にしたとたん、いきなり後ろに体が引っ張られた感覚がした。
私は、その勢いで自然と後ろを振り返った
そこにいたのは─────…。
「…やっと見つけた」
「………夏樹」
そこに居たのは、汗だくになった夏樹の姿だった。