表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/7

 

私は、あの日を境に願掛けとして髪を伸ばしはじめて…今では、肩を少し超していた髪が腰あたりまで伸びていた。



「……今日の空も青いな」



次の日も私は夏樹の見舞いに行った。


窓から見える景色を見ながら、私はあの日を思い出していた。



「んっ……」


「──っえ?」



今、私の後ろから声が聞こえてきた気がした。


そんなはずないと思ってた。


だけど、私が一番望んでたことだから…。


だからつい、無意識に後ろを振り返った。



「…夏樹?」



だけど夏樹は眠っていた。


あぁ、私の勘違いか……そう思っていたら。



「……んっ、カズハ?」



気のせいじゃなかった。


今、目の前には夏樹がいて私の名前を呼んだ。


嘘じゃない、夏樹が目を覚ましたんだ!


私は、夏樹のことを強く抱きしめた。


涙を流して、何度も何度も謝った。


だけど夏樹は「何で謝んの」と笑って私の頭を撫でてくれた。



「カズハは、何も謝ることないんだ」


「だって、だって夏樹がこうなったのは…っ!」


「違うだろ、俺がお前を助けたかったんだ」



夏樹が真剣な顔でそう言って私を見る。


だけど私は、夏樹に後ろめたさがあって…真っ直ぐに見つめ返すことが出来なかった。



「……おばさん、呼んでくるね」



私はそう言って病室を出ようとした。



「カズハ、髪伸びたな」


「…うん、伸ばしてたからね」



私はそう言うと、病室を出て行った。



「…──おばさん?あのね──」



私はおばさんに電話で教えた。


おばさんはあっという間に来て、夏樹の病室に駆け込んだ。


おばさんは涙を流しながらも、満面な笑顔で夏樹を抱きしめてた。


私は、この時にあることを決めた……もう夏樹とはいられない。


傷つけてはいけない。


悲しませたらいけない。


迷惑をかけたらいけない。

 

だから、私は夏樹から離れないといけない。












「……バイバイ、夏樹」













私は夏樹の病室の前で小さく言うと病院を出ていった。







評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ