弐
「それでね~」
私は夏樹との会話が楽しくなって、馬鹿みたいにはしゃいでた。
夏樹の前に出て夏樹の顔を見ようとした時だった。
「──カズハっ!!」
「えっ?」
その瞬間、私は何が起こったのか解らなかった。
だけど、確かに感じたもの。
それは夏樹が真っ青な顔で私の元へと向かって来た事、夏樹が私を強く押しのけた事……放課後にしては空が青かった事。
夏樹は、私をかばってバイクに引かれた。
私が引かれるはずだったバイクで夏樹は……。
命に別状はなかったけど夏樹は何故か目をさまそうとはしない。
きっと、私を怒ってるんだ。
私のせいで、夏樹が怪我をしたから。
私さえちゃんとしていれば……。
「おばさん、ゴメンナサイ」
私は夏樹の両親に頭を下げた
「…カズちゃん、いいのよ?気にしないで」
おばさんはそう言うけど、顔を見たらそうは思えないよ…。
そうだよね、おばさんにとっては家族で息子なんだよね……本当にゴメンナサイ…。
そして、夏樹が目を覚まさなくなって一年がたった。
「……夏樹、もう私達二年生だよ?」
こんなこと言っても、夏樹には届かないのに。
今、この時間くらいに……夏樹が私の代わりに事故にあったんだよね。
「…また、明日来るね」