表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
僕の在り方  作者: ユウ
第1章
2/8

2

目を開けると、何も見えなかった。


「どこ」

何の変哲もない"声"が反響する。

返事はない。誰もいない。


「目ぇ覚めたか?」


扉を開ける音がすると共に、光が視界を埋め尽くし、無防備な目に焼き付いた。眉をしかめながら光の先を見つめると、体格の良いポロシャツの男が立っていた。


「誰?」

男は驚いたように目を瞬かせ、「制御できるのか」と全く返事になっていない言葉を吐いた。不快になった。僕はさっきまで母さんと話していたはずだ。それがなぜか暗闇の中にいて、知らない男が現れた。

「母さんはどこ?」

反応がない。じっと此方を見つめるだけ。


『母さんは?』


「っ……は、自由に出すこともで出来んの。優秀だねぇ」


おかしい。

目を見開いた僕を見て、男は「ふーん」と頷いている。


どうしてだろう。なぜ通じないのだろう。わからない。


「そういう"能力"?」

「……ん?ああ、違うよ。俺のはただの"体質"だからな」

……体質。能力がきかない?


「まあそれはさておき、俺が誰かって話だ。いや、正確には俺達か?」


俺達。

それが意味するのは。


「集団?」

男は口角を上げる。


「おっしいなぁ。むしろ悪の集団と敵対する、言ってみりゃ正義の味方さ」

仕事の内容はそうだなぁ、と男は顎に手をあてて、反応を見るように此方を見た。


「お前みたいな悪い能力者を処分するとか」


「っ……!」

驚きに何かから落下する。腰の痛みにうめきながら立ち上がると、背後に簡易ベッドが置いてあった。どうやら僕はここに寝かされていたらしい。あたりはそれ以外に何もなく、見ようによっては牢獄のようでもある。


処分--その言葉に、状況が少なくとも良くはないのだと理解する。


男。声は通じない。


「んじゃ、ちょっくら着いてきてもらおうか?能力がなきゃただのひ弱なガキだ、抵抗したって無駄だぞ?」

そう言うと男は背を向けて歩きだした。どうしたらいいかわからない。


「……着いてきやすいように殴ってやろうか」

仕方ないので大人しく男の後を追った。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ