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日本人として

久しぶりの投稿です。

1908年 明治41年


オレこと有栖川宮義仁は今、学習院初等学科の三年生だ。本当は学習院には入学する気はなかったのだが父上ではなく母上が『いっぱい友達をつくって欲しい』と言うから仕方がなく入学した。成績は全て満点だ。周りからは神童だのなんだのと言われているがそんなことは、当たり前だ!小学生レベルの問題なんぞ前世で大学まで行っていたオレにかかればただの作業にすぎなくなる。教科書もおかしかった。天皇陛下のご先祖様が世界を創造しただと……そんな当たり前なこと教科書に書くな!!お国の為に尽くせと……国民の義務だろ!そんなこと知らんのか!

さてそんなオレに嬉しい出来事があった。



それは………




「卯宮!一緒に遊ぼ!」

「ハイッ!迪宮殿下!」


迪宮殿下が御入学されたことだ!


「なにをして遊びましょうか?殿下?」

「ん~~……虫取りをしよう!」

「分かりました!直ちに用意致します!しばしお待ちを!」


そう言いながら義仁は猛ダッシュで虫網と籠を取りにいった。


その光景を学長室の窓から眺めている一人の人物がいた。



「殿下!お待たせいたしました!」

「ありがとう!卯宮!」


殿下に感謝された……オレはなんて幸せ者だろう……!


「卯宮早く行こうよ!」

「分かりました!」


しかし殿下、オレは虫が苦手です。だって沼津御用邸にいた時から虫たちに襲われるんです。殿下は虫たちに好かれみんなおとなしいのにオレが近づいた途端、一斉にこちらに突っ込んで来るんですよ!なんでだろう?オレは虫たちに何かしたのか!?しかし殿下が楽しんでいただけるのならこの義仁、どんなことでも致しましょう!




「ガアアアアァァァァァァァァァァァァァ!!??指がアアアアァァァァァァ!?」

「大丈夫だよ卯宮、そのクワガタはおとなしいから」


殿下!?思いっきり挟まれているんですけど!?穴が開きそうなぐらい痛いんですけど!?


「で、殿下……!大変申し訳ございませんがこのクワガタ………取っていただけませんか……!?」

「いいよ!」


迪宮がそのクワガタに触ると直ぐに挟むのを止め、迪宮の手の平の上でおとなしくなった。


「ほら!おとなしいでしょ?」

「………そ、そうですね……」


オレはやはり虫に嫌われているな……




「卯宮、また明日!」

「また明日お会い致ししましょう!殿下!」


迪宮はそう言って侍従を引き連れて帰えっていった。

その姿が見えなくなるまで最敬礼し続けた義仁であった………



有栖川宮邸


「ただいま帰えりました!」


戸を開けながら大きな声で帰宅の挨拶をすると家の奥から三人の男女が走ってきた。


『お帰りなさいませ義仁様!』

「ただいま、みんな」

「鞄、お持ちしましょうか?」


身長170cm後半のメガネを掛けた男が言う。


「大丈夫、自分で持つよ」

「いえお疲れでしょうから私が持ちましょう」

「えっ?」


義仁が戸惑っている間に男は鞄を一瞬の隙を突いて取り上げ


「では自分は義仁様の靴を磨きましょう」


身長180cmを超えるガッチリとした筋肉質の男が本人の許可なく靴を磨きに玄関へ向かい


「おい?」


筋肉男を止めようとする前に身長150cm後半の女性に抱っこされるような形になっていた


「わ、わたしは義仁様をお部屋へ運ぶます!」

「ちょっ!?待って!?下ろして!?自分で歩けるからぁぁぁぁぁ!?」



このような光景は一年前から見られるようになった。





1907年 明治40年 6月


「日仏協約締結か……」

「お前の言う通りになったな。義仁」


居間で新聞を父上と一緒に読みながら話をしていた。


日仏協約とは1907年6月10日にパリで日本・フランス両国間で締結された条約で、アジアにおける両国の利益と安全保護を約束したもので、これによってフランスは日本との関係を相互最恵国待遇に引き上げることに同意する代わりに、日本はフランスのインドシナ半島支配を容認することと、ベトナム人留学生による日本を拠点とした独立運動を取り締まることを約束し、1909年には留学生全員を国外追放したことでを東遊ドンズー運動は終焉を迎えることになる。


義仁はこの東遊ドンズー運動を持続させようとしていた。



「父上、家で何人か匿えることはできませんか?」

「匿うか……何人ぐらいだ?」

「……30人ぐらい?」

「いくらなんでもそんな人数は匿えれないよ」


苦笑いしながら威仁はいった。


「では何人ぐらいなら匿うことができるんですか?」


そう義仁に質問されると威仁はアゴに手を当て考え始めた。


「う~~ん…………多くても三人ぐらいだな」

「では三人ほど匿いましょう」

「簡単に言うな、匿うとしてもどうやって匿うかなんて考えていないぞ。第一、もし皇族が留学生を匿っていることがフランスにばれたらどうするつもりだ?」

「そんなもの内政干渉にでもして無視すれば良いではありませんか」


義仁の言葉に威仁は大きくため息をついた。


「ハァ~~~………義仁いくらお前が未来を知っていてフランスが列強から転げ落ちるとしても今の日本はフランスより弱いんだ。それはお前もわかっているはずだ、そんな今の日本がフランスからの要請を跳ね除ける力はない。」


しかし義仁は身を乗り出しながら反論する。


「しかし今の日本こそがアジア、いや世界の植民地の人々にとっての唯一の希望なんです!史実どおりに朝鮮を併合していまったら我々も列強と同じになってしまいますよ!そうなる前に今の日本を少しでも多くの若者に伝えなければならないんです!だから匿ってあげてください!!」


義仁の気迫に押された威仁は思わず頷いてしまったのであった。



8月  有栖川宮邸前



三人の男女が緊張した面持ちで有栖川宮邸前に立っていた。


一人の男性はメガネを何度も掛けなおし、落ち着かない様子だった。

もう一人の男性は額に汗をかき、強張った顔をしていた。

最後に女性は物凄く緊張し、体全体が震えていた。



それを玄関前で見ていた一人の男と一人の男の子が彼らに向かって歩き出した。




「君たちがチャウ氏が推薦した三人かね?」


威仁が少し威圧的に三人に喋りかけるとメガネを掛けた男が一歩前に出てこう言った。


「グエン・タン・タインと言います!この度は御世話になります!」


次に筋肉男が前に出て言った。


「自分はチャン・ヴァン・クオンと言います!宜しくお願い致します!」


最後に女性が前に出て言った。


「リ、リー・ティ・ファンです!よろしくお願いします!」


三人の挨拶が終わると威仁が苦笑いしながらこう言った。


「そんな緊張しなくてもいい。私が有栖川宮威仁だ。こちらもよろしくお願いするよ」

『よろしくお願い致します!』


なるほど……メガネに筋肉モリモリマッチョマンに童顔で出るところはしっかり出ている女の子か……というか日本語うまいな……


「あ、あの!そちらの方は……」


なんだファンさんがこちらを見ているぞ


「ああ、まだ紹介していなかったね。これは私の息子の……」

「有栖川宮義仁です。よろしくお願い致します」

「こ、こちらこそよ、よろしくお願いします!」


子供相手なに慌ててるんだ……


「ちなみにこの義仁が君たちを匿おうと言い出した張本人だからね」

「父上、余計なことを言わなくていいです」

「本当の事を言っただけじゃないか……」

「そういうのは父上が言い出したことにしてください。あと三人が固まっちゃてるんで何とかしてください」


とりあえずフリーズを起こしていた三人を連れて家の中へ入った。




「それじゃあ義仁、あとは頼んだよ」

「分かりました。部屋にも案内していいですよね?」

「任せるよ」


ここからは三人の部屋に案内することとなった。


「あの~義仁さん?」

「何ですか?ファンさん?」

「さっきの話って本当ですか?」

「さっきの話?……匿うことの話ですか?」

「ハイッ!本当なんですか?」

「本当ですけど……」


そう言うとファイさんは純粋に驚いていたが男子二人はあまり信じていないようだな……まあたかが九歳の子供がそんなこと考えるとは思わないだろうがな……


「着きましたよ。ここはタインさんの部屋です」


広さは十畳ほどで物は机以外置いていない。


「こんなに広い部屋を使ってもよろしいんですか?」

「構いませんよ、必要な物があるなら言ってください持ってきますから。次行きましょう」




「ここはクオンさんの部屋です。広さはタインさんの部屋と同じで内装が若干違うだけです」

「はじめて自分の部屋というものを与えて下さり感謝しております!」


熱い人だな……



「最後はファイさんの部屋です。広さは十二畳で箪笥と鏡台、それに机、本棚ぐらいしか置いていないので好きに使ってください」

「なっなんで私の部屋だけこんなに豪華なんですか……?」

「ここの部屋はもともと自分が使っていたのですが……物が入りきらなくなったので違う部屋に移った時に使わないものをここに置いて行ったんです。自分の御下がりが嫌でしたら新品に買い替えますが……?」

「いえ!十分です!本当にありがとうございます!」

「それなら良かった」


ふむ……これで案内は終了したな。やっと自分の部屋に帰れる……


「あの!義仁さん!」

「どうしましたかファンさん?」

「良ければ義仁さんの部屋を見てもいいですか?」


なにぃ……?部屋を全く片付けてないのに見せれるわけないだろう


「散らかってますけど……」

「大丈夫です!」


何が大丈夫なんだよ……!?オレの部屋だぞ!?


「だめですか……?」


なんで泣きそうになっているんだ!?


「……分かりました、少しだけですよ?」


ということでオレの部屋に案内することになった……なんでこうなった?




「ここが自分の部屋です」


襖をわ開けるとそこには……


『・・・・・・』


二十畳ほどの部屋一面に画用紙、メモ用紙が貼られ、床にも画用紙にメモ用紙が散乱し、机の左右には山積みになった大量の本が置いてあった。それだけでも彼らを驚かせていたが一番衝撃を与えた物は……


「よ、義仁さん……あ、あれは何ですか?」

「あれはですね……僕の夢であり目標です。」


天井から吊り下げられた横断幕には大きな字だ『全植民地解放!大東亜共栄圏設立!』と書かれていた。


「アジア人の為のアジアを作るのが僕の夢なんです。それに……それが僕の使命だからです」

「……なんでですか?日本は独立してますよ?日本の方々は私たちに色んなことを教えてくれましたし力になってくれる人たちもいっぱいいます!そんな使命を感じる必要はないじゃないですか!?」


落ち着けファンさん。なんでそんなに興奮しているんだ?……とりあえずオレの考え伝えるか……


「有色人種で唯一列強と対等に戦える力を持っているのは日本だけです……しかし日露戦争での奇跡に多くの植民地で暮らす人々は勇気づけられたと思います。だからこそ日本が植民地の人々にとっての希望にならなければならないんです。希望になり続けなければならないんです!」


それが……


「それが日本人の責任だからです」


勝たなければならないのだ……日本だけでなく全アジアが団結して勝利しなければならないのだ………!


それが………真のアジアの独立につながるのだ………!!



それから翌日から三人はオレの事を『義仁様』と呼ぶようになった。

………恥ずかしいからやめてほしい……あとなんで『様』付けするようになったんだよ?


何でだろう?














江風かわいいな~

……全く駆逐艦は最(ry


イベントもう無理・・・

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― 新着の感想 ―
[気になる点] そう言えば兄上の薨去はスルーですか・・・確かこの時期だったかと思うのですが・・・
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