日本の父親、ドイツの親バカ
え~テストやレポート等などの課題と艦これ、WOT、warthunderなどのネットゲームを遊んでいて遅れました。申し訳ありませんでした。
1905年 6月6日
ドイツ帝国首都ベルリン
この日は、今年のドイツ帝国におけるもっとも華々しい国家行事が行われる日である。
何が行われるかというと……
『ワアアアァァァァァァァァァァァァァァァ―――ッ!!!!!』
ブランデンブルク門からベルリン王宮まで続く道には莫大な費用をかけて美々しく飾られそこに何十万人という大観衆が道の真ん中を歩いている豪華な馬車に祝福の言葉を送っている。
その馬車に乗っているのは、一組の男女である。
その男女の女性に名は、ツェツィーリエ・フォン・メクレンブルク・シュヴェリーン。
男性の名は、ヴィルヘルム・フォン・プロイセン、父は現ドイツ皇帝ヴィルヘルム2世。
これは国を挙げての結婚式である。
「はあ……」
ため息をついたのは、この結婚式に参加するためにはるか極東の島国、大日本帝国から来た有栖川宮威仁親王、彼は困っていた。その原因は……
「彼が日本人か……」
「まさかバルチック艦隊が敗れるとは……」
「すごいものだな……」
5月27日から28日に起こった日本海海戦の結果である。この海戦は、日本海軍連合艦隊とロシア海軍太平洋第2第3艦隊…通称バルチック艦隊との間で行われた海戦で、バルチック艦隊が壊滅したのに対し連合艦隊の被害は軽微という海戦史上稀な一方的に勝利したというもので、結果日本の評価が凄まじい勢いで上がっていた。
その影響で何もしていない威仁が日本人というだけで称賛を受けているのがうんざりしていた。
「(私はただ大本営にいただけで何もしていない……それなのにこんなにも称賛を受ける資格はないはずだ)」
そう考えながらパレードを眺めていた。
夜、ベルリン王宮では、晩餐会が開かれていた。今夜の主役はもちろん今日夫婦になった、皇太子ヴィルヘルムとその妃のツェツィーリエである。多くの出席者から祝福の言葉をもらい二人とも少し恥ずかしそうにしていた。威仁もその二人に挨拶を済ませて一人、バルコニーで風にあたっていた。
「早く日本に帰りたい……卯宮はしっかりやっているだろうか?失礼なことをしていないだろうか?」
そう呟いていた時、一人の人物が近寄ってきた。
「失礼、お隣よろしいでしょうか?」
「えっ?ああどうぞ」
その人物は、他の貴族とは違う空気を纏っていた。何より服が違っていた。
「晩餐会は、楽しんでらっしゃいますか?」
「ええ……楽しんでますよ」
「それはよかった。ああ自己紹介がまだでしたね。私は、ドイツ帝国陸軍大佐のハインツ・フォン・ハイゼンベルクと申します。」
「私は、大日本帝国の有栖川宮威仁と申します。」
「存じ上げております。有栖川宮殿は海軍でしたよね」
「そうですが……」
「いや~おめでとうございます!見事な海戦だったと聞いております!」
「いえ……私は、何もしておりませんから……」
「そんなこと仰らないであなたの祖国が勝利したのですからそれを祝いましょう!」
「……そうですね」
それから二人はお酒を飲み始めた。
それからしばらくして……
「そういえばハインツ殿は、子供はいらっしゃいますか?」
威仁がそう聞いた瞬間にハインツの目つきが変わった。そう『待ってました!』とばかりに凄まじい勢いで語り出した。
「よくぞ聞いてくれました有栖川宮殿!私には一人娘がいましてな~天使のような可愛らしさでして目が妻によく似ているんですよ!性格は明るく元気にそれでいてはっきりと物事を言う子に育ってくれました!」
「そっそうですか……それは良かったですね……」
「あっ写真がありますよ!どうぞ見てください!」
「どっどうも……」
その写真には、ハインツとその娘の二人が写っていた。
「可愛らしい娘さんですね。名前は何と言うんですか?」
「エーリカ・フォン・ハイゼンベルクと言います。可愛いでしょう!」
「可愛いですね。本当に……」
「有栖川宮殿は、お子さんはいらっしゃるのですか?」
「ええ、男の子が二人、女の子が一人います。………まあ次男は本当に自分の子供なのか疑いたくなりますけど……」
「……ちなみにその次男の名前は何というのですか?」
「有栖川宮義仁と言います」
「その子をなぜ疑いたくなったのですか?」
「……私や長男は、生まれた時から体が弱いのですが義仁は体がとても頑丈で六歳の子供なのに英語やドイツ語、ロシア語、フランス語に果ては、中国語が喋れて、さらに兵器を設計なんてこともやっているんですよ?自分の子供か疑いたくなりますよ……」
「いや……有栖川宮殿の教育が良かったのでは?」
「私は義仁の前で英語もドイツ語もロシア語もフランス語も中国語も喋ったことがありませんし兵器のことなど教えたこともありません……」
「………とっとても優秀なお子さんで……」
ハインツは、しばらく威仁の愚痴を聞くことになった。
しばらくするとハインツが酔って愚痴を言っていた威仁がハインツの愚痴を聞くことになった。
「息子にどう接していけばいいか分からなくなりますよ……」
「私も最近、娘のことで悩んでいるんですよ……」
「そうなんですか?そうには見えませんが……」
「娘が『好きな人ができた』って言うんですよ~!!」
「それは良かったですね」
「良くありません!しかも好きになった相手は庶民ですよ!?貴族ならまだしもただの庶民だなんて……親としては、この恋愛を何としてでも阻止しなければなりません!」
「その相手の子には会ったのですか?」
「………アドルフ・ヒトラー……相手の子の名です。彼は表裏の無い子です。腕も立つし度胸もあり器も大きい……何よりエーリカから信頼を得ている………私の妻はエーリカが三歳の時に亡くなってそれからエーリカは人をあまり信用しなくなったんですよ……性格も暗くておとなしい子でした……しかし彼に出会ってからは明るく元気な子になりました………そんな彼をエーリカから引き離すことなんて私にはできない…!!」
「……ハインツ殿、娘さんを信じてあげましょう。娘さんがその彼を信頼しているんですからきっと大丈夫ですよ。」
「………少し気が楽になりました……有難う御座います」
「いえ私は何もしていませんよ」
「いえあなたのおかげです。何かお礼がしたいのですが……」
「お礼ですか……?」
そう呟きながら顎に手を当て考え始めた威仁はあることを思いついた。
「では義仁にお土産を持って帰りたいのですが……何かいいお土産はないでしょうか?」
「お土産……義仁君は将来何になりたいか言っていましたか?」
「軍人になりたいと言っていましたが……」
「それならオススメのお土産がありますよ!少し待ってて下さい!」
そう言ってハインツはバルコニーから離れた。
しばらくしてハインツが戻ってきたが30cmほどの木箱を両手で挟んで持ってきた。
「それは……?」
「軍人になるのでいつか必要になると思いまして……」
そう言いながらハインツは木箱を威仁に渡した。
「開けてもいいですか?」
「どうぞ」
木箱を開けその中を見ると……
「!これは……!」
拳銃が入っていた
「モーゼル社製モーゼルc96です」
「こんな高価なもの貰ってもよいのですか?」
「構いませんよ。私の友人にモーゼルで働いている人が一人いるのでそいつに頼めばいつでも用意してくれますから。義仁君に渡してあげてください」
「ありがとうございます。ハインツ殿……」
「私はただあなたにドイツ土産を渡しただけですよ。気にしないでください」
そう言いながらハインツは笑いそれに惹かれるように威仁も笑った。
明治38年 1905年9月
沼津御用邸
「一年ぶりか……」
威仁はそう呟きながら歩いていた。ハインツからもらったお土産を抱えながら邸宅正面に向かって。
「卯宮は元気だろうか……あいつのことだから殿下に失礼なことはしていないと思うが……」
邸宅正面
「とくに変わった様子はないな……」
その時どこからともなく足音が近づいて来た。その足音がする方を見ると……
「………卯宮、なにをしている?」
「ちっ父上!?なぜここに!?」
上半身裸の義仁がいた。
「卯宮、上の服を着なさい」
「先ほどまで走り稽古をしていたので暑いです。ところで父上その木箱はなんですか?」
「これか……お前へのお土産だ」
「お土産ですか?なにが入っているのですか?」
「渡してもいいがまず服を着なさい」
「わかりました。父上も上がってください」
二人は邸宅の中へ入った。
それから威仁は迪宮殿下と淳宮殿下に挨拶をすまし義仁の部屋に行った。
「卯宮、入るぞ」
『どうぞ』
襖を開けるとそこには……
「なんだこれは……」
大量の本と何かを記したメモ、画用紙に描かれた船のようなものや羽が着いた謎の絵、四角い箱の上に小さい箱が乗っかているような絵などが部屋のいたるところに置いてあった。
「適当なところに座って下さい」
「座っていいのか?」
「いいですよ。下に置いているのはすべて失敗作ですから」
「そっそうなのか?ならいいが……」
威仁はそう言いながらも紙をどけて座った
「それでお土産は何ですか?」
「それは自分の目で確かめろ」
威仁が木箱を義仁の前へ出し、義仁が木箱を開けると
「!これは……!」
「モーゼル社製モーゼ「モーゼルc96!」……なんでお前が知っているんだ?」
「前にも言ったではありませんか。前世の記憶があると。すごい!初めて見た!持ってみてもいいですか!?」
「いっいいぞ……(本当に前世の記憶があるのか……でないとこんな子供がモーゼルc96なんて知っているわけがない)」
「弾丸はあるのですか!?」
「あっあるぞ……(撃つ気なのか!?)」
「大人になってから撃っていいですか!?」
「いいぞ……(常識はあった……)」
「父上ありがとうございます!一生大切にします!」
「そうか……大切にするんだぞ」
「ハイッ!」
この時威仁はこう思った。『いくら変わった子だとしてもやはり自分の子供だ』と『前世の記憶があるから仕方がない』と『こんなに可愛い笑顔するなら多少無理な頼みでも叶えてやろう』と………
こうして有栖川宮威仁は親バカになった。
艦これイベントでまた遅れるかもしれません・・・
ご意見ご感想お待ちしております。