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最終夜

俺は、病院の一室で目が醒めた

頭に巻かれた包帯と、身体に残る痺れが不快感を与える

今は何時だ、ここは何処だ

枕元のナースコールに手を掛けて、押す


「あ!目が覚めたんですね!」

「……、えぇ、ユメから醒めました」




なんでも、俺は部活中に豪速球の硬球が頭にクリティカルヒットしたらしく、中々に危険な状態になっていたらしい

あぁ、だからまだ頭がぼーっとしてるのか


夢から醒めた3日後

「十矢!」

「おー、関口見舞いサンキュー」

俺の友人の関口が病室を訪れていた

二人で笑いながら他愛無い話をしていると、急に関口が真面目な顔になってこう言った


「なぁ、今のお前にこんな事を聞くのはなんだけど、いいか?」

「おぅ、いいぜ?」


「十矢、お前、[遠野 弥宵]って娘、知ってるか?」


途端に、頭に激痛が走る

夢、ユメ、ユメ、ユメ、夢、夜々異、弥宵


「…、知らねぇな、その子がどうしたんだ?」

「……、お前が事故にあった日、その子が屋上から飛び降りて死んだんだ、お前の名前を叫びながら」











退院してすぐに、俺は遠野 弥宵の家を尋ねた

両親は、俺の事をすんなりと家にあげてくれた



写真立ての中で笑う彼女は、やはり、夢の中の彼女だった

俺は、何の夢を見ていたのだろう

部屋の夢か、病院の夢か、森の夢か

はたまた、俺の夢か


いいや、きっと彼女の夢を見ていた

沢山の人が見た過去が、彼女の元に集まって彼女の夢として俺を取り込んだのだろう


俺の意識が、黄泉の国に旅立つ前に

夢という、現実に最も近い深層心理のセカイに繋ぎ止めていてくれたのだろうか


俺は、彼女の墓前に花を供えて、手を合わせる




ありがとう、って



写真立ての中の彼女が、より一層微笑んだ、気がした








そして、俺はユメから醒める

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